最近食べた魚の名前を5種類、思い浮かべてみてください。その中に「カワハギ」は入っていましたか?
カワハギは全国的に食べられています。特に秋や冬になると、あなたの町にあるスーパーの鮮魚コーナーにも姿を見せ始めるのではないでしょうか。
あまり一般的な魚とは言えないかもしれませんが、実はとても美味しい魚なのです。
国内の主な食用カワハギ

現在、国内で主に食されている“カワハギ”は、「カワハギ(本ハギ)」「ウマヅラハギ」「ウスバハギ」の3種。特にお店で見かけるのは「カワハギ」「ウマヅラハギ」の2種です。
これは私のお里自慢なのですが、香川県ではカワハギのことを「マルハギ」とも呼びます。名が体をしめすごとく、シルエットに丸みのある小型の本ハギのことを指し、煮付けや刺身がおいしいです。
カワハギと言えば、やっぱり肝醤油!
私は幼い頃からカワハギファンなのですが、最近気になる食べ方があります。
そう、それはカワハギの刺身。肝を醤油でといた「肝醤油」で食べるのです。

存在そのものはかねてより知っていたのですが、漁師の自家消費とか、釣り人、あるいは高級な料亭で出される珍味的な一品だと思っていました。カワハギには家庭的なイメージしかなかったので、フグのような薄造りとつやつやの肝醤油をはじめて見た時は、それはもう驚きました。
カワハギの刺身は、新鮮なものが手に入りやすい漁師や釣り人以外では、最近急激に普及し始めたと言われています。その背景には魚価向上のための活〆の推進や、カワハギ養殖の盛り上がりがあります。
より新鮮なカワハギが市場に出回るようになったからこそ、広まりつつある食べ方なのですね。現在は旬である秋〜冬にかけて市場に出回るカワハギですが、今後は一年中カワハギを食べられる日も近いかもしれません。
水揚げ量は減少傾向
一方、新たな脚光を浴びるカワハギたちですが、その水揚げ量は減少傾向にあります。
カワハギはゴカイやウニなどの底生生物を食べる肉食性の魚。よってカワハギたちが海に息づくためには、豊かな藻場が必要です。
しかし近年、環境変動の影響か藻場は減少傾向にあります。
最近、生食の追い風をうけて勢いのあるカワハギですが、その身の妙味を口で舌で覚えたらカワハギたちの海のことも思い出してあげてください。
(サカナトライター:りかえもん)