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飼育する海水魚に与えるべき餌は? <マリンアクアリウム>健康に育てるための家庭用フードガイド

「生きものを飼う」ということは、エサを与え、養い育てること。つまり、エサは重要なポイントとなります。

栄養素を外部から取り入れないと、生命活動を維持することできません。好きな魚が優雅に泳ぐ姿を楽しむためには欠かすことができない要素です。

海水魚を飼育をする上で効率よく世話をするためには、人工飼料を与えるのがベストだと考えます。また魚は同じ餌に対して飽きることがあるので、様々な種類の餌を与えるのもポイントです。

海水魚を飼育するにあたって、餌の選択は大変なことでもあり、奥が深い要素でもあるのです。

【画像】堤防や磯で見かける青い小魚を飼育してみた

エサには目的によって用途あり

与えるべきエサの種類は、目的によって変わります。大きく分けて、餌付け用・主食用・おやつ用の3つです。

餌付け用は<人工飼料に餌付かせるためのエサ>

餌付け用のエサは、人工飼料に餌付かせるために与えるものです。

主に活き餌、冷凍・生餌のものを与えることが多いです。嗜好性がとても高い(=食いつきが良い)エサですが、生きているものや冷凍のものを扱うので少し扱いが大変です。

どうしても人工飼料を食べない場合、これらの餌を与え続ける必要があります。添加剤によって嗜好性を上げる方法もあります。

主食用は<飼育のメインとなるエサ>

餌を食べるコリドラス(提供:PhotoAC)

主食用のエサは、文字通り飼育のメインとなる餌です。

人工飼料のペレットや乾燥クリルなどが主流。毎日何回か与えるものなので、与えやすく栄養バランスが良いものを使用します。

ただ、これらの餌は飼育を始めた直後は食べない魚が多く、そういう魚には上記の餌付けが必要になります。ビタミン剤を添加して栄養価を上げることもできます。

おやつ用は<偏食を防ぐためのエサ>

最後はおやつ用のエサ。色々な餌を食べさせることが偏食を防ぐ第一歩なので、おやつとしてたまに与えるものです。

人工飼料に餌付いてそればかり与えていると、栄養価の偏りを起こしてしまうこともあります。フレークや冷凍フードなど、メインとは少し違った餌を与えます。

そして、魚類も他の動物と同様にタンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルを外部から摂取しなければ成長や繁殖ができません。

体に必要なエネルギーのもとは炭水化物、脂質、タンパク質。体を作る要素は、タンパク質、ミネラル体の調子を整える要素がビタミン、ミネラルです。

これらを人工的に配合したフードがおすすめです。時には添加剤も利用して、飼育している魚の健康を保ってあげましょう。

魚類のエサの食べ方

魚類には、動物プランクトンや小魚、昆虫などを食べる肉食性、藻類などを食べる植物食性、どちらも食べる雑食性など、さまざまな食性のものがいます。

それぞれ、餌の食べ方が少しずつ違うので観察してみましょう。

肉食性の魚は口が大きく、餌が近くに来ると豪快に丸ごと食べます。一方、カエルアンコウやハタ、カサゴ、ウツボ、フグなど貝や甲殻類を噛み砕いて食べる魚もいます。

ウツボ(提供:PhotoAC)

植物食性の魚は、主に海藻や水草を食べます。マリンアクアリウムでは植物を専食する魚は少なく、色々食べる雑食性の魚が多いです。ハギやアイゴなどがこれにあたります。

雑食性の魚は、海藻やプランクトンや底生生物などを複合的に食べます。アクアリウムの定番であるハナダイやスズメダイ、ハゼやベラなどは雑食性です。

プランクトン食性の魚は浮遊生物を食します。飼育する際には、ブラインシュリンプなど生きて浮遊している餌を与えます。

毎日ブラインシュリンプを孵化させる必要があり手間がかかることが難点。タツノオトシゴやヨウジウオ、チンアナゴ、テグリやハナダイ、ダンゴウオがプランクトン食性にあたります。

ダンゴウオ(提供:PhotoAC)

サンゴ食性の魚は、サンゴのポリプをついばむように食べます。日常的にサンゴを与えることは難しいので、人工飼料に餌付かせることが必須の難しい食性の魚です。

チョウチョウウオやヤッコ、テングカワハギがこれに当たります。飼育の際には、人工飼料に慣れさせることが大切です。

マリンアクアリウムで使用する<エサの種類>

マリンアクアリウムで使用する餌には様々な種類がありますが、ここでは大きく分けて5種を紹介します。

ペレット(配合飼料)

ペレット(提供:たつ)

ペレット(配合飼料)は与えやすく、栄養バランスが良いオールラウンドなエサです。魚を飼う上で1番ベストなエサと言えます。

適量を与えれば、水も汚しにくいです。種類によって、やわらかかったり、沈みやすかったりなどバリエーションがあるので使い分けましょう。

フレーク(配合飼料)

フレーク(提供:たつ)

フレーク(配合飼料)は配合飼料なので栄養のバランスは良いものの、お腹に溜まりにくいので、おやつとして使用することが多いです。

薄くヒラヒラしていることから食べやすいのか、ペレットよりも餌付けしやすいです。

ドライフード

ドライフードは、乾燥させた小さな生きものたちのこと。乾燥したオキアミである乾燥クリルは、与えやすく嗜好性も高いことから、肉食魚から雑食魚まで対応しています。

乾燥ブラインシュリンプは、主にプランクトンを食べる魚たちに与えます。生きたブラインシュリンプ、冷凍ブラインシュリンプの次に与えるペレットへの繋ぎに使用します。

冷凍フード

ブラインシュリンプやホワイトシュリンプのアダルトを採集後すぐに冷凍したものです。

生きものの形が残っているため、魚の反応はいいです。ただ、解凍し、適量を与えるのが手間となります。メインのエサとは別に、おやつとして使用することが多いです。

冷凍ブラインシュリンプ(提供:たつ)

ブラインシュリンプ、ホワイトシュリンプ、ミジンコ、アカムシなどが使用されています。

冷凍・生餌

アサリ(提供:PhotoAC)

釣具屋・スーパーで入手できるエサです。餌付けに使用しますが、どうしても人工飼料に餌付かないときに与えます。

栄養価は高いですが、解凍など用意する手間がかかること、飼育水を汚しやすいことが難点です。

アミエビ(提供:たつ)

生餌は主に、ブラインシュリンプ、イサザアミ、小魚、エビが利用されます。

ブラインシュリンプは卵から孵化させ、様々な魚に与えることが可能。雑食性やポリプ食性の魚に与えることができますが、小さめの個体が対象です。肉食魚でも1〜2センチのサイズであれば、食べる種もいます。

イサザアミは河口、汽水域などで取れる小さなエビです。春から秋が狙い目です。

磯や漁港で取れる小魚もエサとして利用できます。小さめの個体を肉食魚に与えます。定期的に採集する手間がかかることを押さえておきましょう。

エビは磯で取れます。小さめの個体は肉食魚に人気です。こちらも定期的に採集する必要があります。

飼育する魚も栄養素が大切!

添加剤は、成長に必要なビタミン剤やアミノ酸、必須脂肪酸を添加し栄養価を上げるために使用します。

また嗜好性が非常に高いニンニクが入っており、食いつきを良くし、餌付けに活用できるような添加剤もあります。

左:バイオビタミン 右:バイオガーリック(提供:たつ)

海という限られた環境で生きている海水魚は、人工の餌を餌として認識しません。

しかし、与えやすく保存性もよく栄養の面も優れている人工飼料に餌付かせることは魚たちの健康を保つための重要な要素で長期飼育を実現するための第一歩です。

大変ですが、飼育している魚が餌付いたときの喜びは何事にも変えられない大きな喜びがありますよ。

(サカナトライター:たつ)

参考文献

株式会社恒星社恒星閣『養殖の餌と水-影の主役たち(杉田治男)』

株式会社学研マーケティング『川魚の飼育と採集を楽しむための本(松沢陽士)』

株式会社ピーシーズ『ヤッコ&チョウチョウウオの世界(富沢直人)』

ニチレイフーズダイレクト

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たつ

たつ

伊豆と僕と時々奥さん

綺麗な魚に魅せられて10年。 飼育・採集を自由気ままに続けるアクアリスト。 私と出会った魅力溢れる魚達や海水魚の飼育方法を紹介します。 誰でも手軽に読めて知識の輪を広げれたらいいなと思います。

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