サルパという生き物を知っていますか?
寒天質のぷるぷるとした体をもち、クラゲのような見た目をしています。しかし実際にはクラゲと全く異なる生きものです。
そんな彼らの不思議な生態を覗いてみましょう。
サルパの分類
サルパは脊索動物門尾索動物亜門タリア網サルパ目に分類される生きもののこと。こうみえてホヤに近い生き物です。
脊索動物門には魚類や哺乳類、鳥類や爬虫類など、背骨をもつ脊椎動物も含まれています。
ホヤやサルパは一見してクラゲなどと近しいように思いますが、実は我々脊椎動物のほうが分類は近いのです。
サルパの驚くべき生態
サルパは普段沖合の方で浮遊生活を送っており、南極から赤道まで幅広い海に生息しています。
筒状の体で前後に海水を取り入れる孔と海水を排出する孔があり、それをポンプのように交互に動かすことで泳ぐことができ、それと同時に体の内部にある粘液で植物プランクトンを主に濾過摂食しています。
つまり、ひとつの運動でふたつのことをやってのけているのです。
繁殖方法も特異的で、有性生殖と無性生殖を交互に繰り返して世代交代をします。無性生殖では、芽生個虫という自分のクローンを作り、鎖のように繋がります。
種類によって繋がる方向が、縦だったり横だったり、円形・ジグザク、中にはらせん状に重なって大きな群体を作る種類もいます。そのクローンが今度は有性生殖をすることで数を増やしていきます。
そのサイクルも早く、まれに大発生して漁業に支障が出ることもしばしばあります。
サルパの主な種類
サルパは現在13属44種が確認されています。代表的なサルパの仲間を紹介します。
トガリサルパ

最も多く見られるサルパで、両端がとがっているのが特徴です。縦に芽生個虫を作り、細長くなっていきます。
単体では通常、1センチから5センチほどの大きさですが、まれに10センチを超える大型の個体が存在します。
モモイロサルパ

摂取したプランクトンの影響で体がピンクがかっていることから、この名が付きました。
横に芽生個虫を作っていく種類です。単体での大きさは5センチほどと小さめです。
オオサルパ

サルパの仲間のなかで最も大きくなる種類で、単体の大きさは数十センチにまでなり、ジグザクかつ2列に芽生個虫を作っていきます。
芽生個虫は四角く、有性生殖で生まれた個虫はコッペパンのような形をつぃています。排水孔に一対の尾状突起があることが特徴です。
サルパを利用する生き物たち
サルパはウミガメからマンボウまで幅広い生物に食べられており、海の生態系においても重要な立ち位置にいます。
ですが、中にはサルパを食べるだけでなく利用する生きものもいます。
タルマワシの仲間

タルマワシはサルパやクラゲを捕食し、外側の組織を自分の子供を育てるため、樽のようなゆりかごに作り変えます。
アミダコ

アミダコは身を守るためにオオサルパに寄生した後、それを乗りこなして外洋を旅する生態を持ちます。
それ以外の生態は、未だ謎に包まれています。
サンマ
秋の味覚として我々にとっても馴染み深いサンマですが、卵をサルパに産み付けることがあります。
先ほどのアミダコの写真をよくみると、サルパの周りにビーズのような粒々が巻き付いています。これがサンマの卵だと思われます。
サンマは海面に浮いている海藻などに卵を産みつける習性がありますが、そこにサルパが浮かんでいたのでしょうか。
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