チョウチョウウオ科の魚は主に暖かい海に生息しており、国内では南日本を中心に岩礁域で見ることができます。
日本では50種程が知られ、多くの種が浅海のサンゴ礁に生息。一見すると似た色彩をしていますが、それぞれが異なった模様をしています。
さらには一部の種では食用になったり深海に生息したりするなど、実はとても興味深いグループの魚でもあるのです。
チョウチョウウオ科の魚は世界で130種以上
チョウチョウウオは Chaetodon auripes の標準和名またはチョウチョウウオ科に属する海水魚の総称です。
世界では130種以上が知られており、2025年9月現在、日本では50種程が記録されています。
日本国内におけるチョウチョウウオ科の分布は琉球列島をはじめとした南日本ですが、一部のチョウチョウウオ科幼魚は関東周辺にも出現し愛好家から人気の魚たちです。

食性については、小型の甲殻類などを食べる肉食性が強い種やサンゴのポリプを食べるポリプ食性、海藻なども食べる雑食性など様々。口が小さくついばむように食事をします。
豊富なカラーバリエーションに加え、様々な食性を持つこともこのグループの魅力かもしれません。
美しい模様の秘密とは?
美しい模様を持つチョウチョウウオ科の魚。
透明度が高く太陽の光が強く差し込むサンゴ礁ではチョウチョウウオ科を含め、ベラ科やスズメダイ科、ミノカサゴ属などカラフルな魚が多く暮らしています。
なぜこれらの魚がこのような色彩なのか諸説ありますが、警戒色や保護色と考えられているようです。さらには多種多様な魚が生息するサンゴ礁において「同種と他種を見分けるため」という考えもあるとか。
チョウチョウウオ科の幼魚に見られる眼状班
チョウチョウウオ科の幼魚やスズメダイ科の幼魚では、背びれの後半部に「眼状班(がんじょうはん)」と呼ばれる目玉のように見える同心円状の模様があります。

この眼状班は魚類において様々な分類群でみられるほか、陸上生物では蛾の羽にも見られる特徴です。魚の眼状班は1つであることが多いですが、カニハゼのように2つもつ種もいます。
この眼状班は威嚇の役割があるほか、外敵を惑わせる効果があると考えられています。
深場の種や食用になるものも
多くのチョウチョウウオ科魚類が浅海のサンゴ礁域に生息する一方で、ウラシマチョウチョウウオのように深場に生息する種もいます。
釣りや漁業においても一部のチョウチョウウオ科が見られ、特にゲンロクダイやシラコダイは本科の中でも釣りでよく出会う魚たちです。

また、比較的大きくなるチョウチョウウオなどは食用にもなり、刺身や塩焼きで食べると非常に美味しいことが知られています。
日本固有種・ユウゼン
日本産チョウチョウウオ科魚類の中でも、ユウゼンは同族他種と全く異なる体色をしています。
この体色に加え、日本固有種であること、国内でも小笠原諸島など一部の海域でしか見られないことから多くの魚好きを魅了してきた魚です。

浅海の綺麗な魚としてだけではなく、深海種や日本固有種、食べておいしい魚がいるのも、チョウチョウウオ科の魅力ですね。
魅力がたくさんの魚
このようにチョウチョウウオ科の魚はたくさんの魅力が詰まった魚たちです。カラフルな色はもちろんのこと、日本固有種や深海種など魚好きの好奇心を刺激します。
チョウチョウウオ科の魚は釣りやダイビング、シュノーケリングのほか、水族館で出会うことができます。皆さんもチョウチョウウオ科の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
(サカナトライター:かい)