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小樽水産高校の生徒が開発した魚醤「おいしいら」発売 <シイラ>を万能調味料に【北海道小樽市】

近年の北海道沿岸では、海水温などの変化を背景に、これまであまり水揚げされなかった魚が増えています。

ところが、食文化や流通の基盤が追いつかず、値が付かない「未利用魚」「低利用魚」として扱われ、廃棄につながるケースもあるのです。

そんな海の課題に“高校生の探究”からアプローチした商品が誕生しました。

小樽水産高校の生徒6名が、北海道で未利用魚とされているシイラを活用した魚醤「おいしいら」を開発し、JR小樽駅構内などで2月26日より発売されます。

「なぜ活用が進まない?」 市場調査から見えた“未利用魚”の壁

この取り組みは、一般社団法人北海道海洋文化フォーラムが推進する「持続的な海洋環境を守るための次世代リーダー育成事業」の高校生連携企画から生まれたものです。

企画に参加した小樽水産高校の生徒たちはチームを結成し、地域の海や水産資源を調べ、学びを社会に還元する実践的な教育プログラムの成果の一つとして、商品開発を進めました。

調査の第一歩として、生徒たちは小樽漁業協同組合の協力のもと地方卸売市場を訪問し、地元鮮魚店の関係者から魚種や漁獲量、現在の小樽漁業が直面する課題について話を聞きました。

その中で、近年は水揚げされても値が付かず廃棄されてしまう未利用魚が増えていること、新たに漁獲される魚種には食文化や流通の基盤がなく、活用が進みにくいことを学んだといいます。

着目したのは「シイラ」 鮮度管理の難しさを“魚醤”で乗り越える

生徒たちが注目したのは、小樽ではなじみが薄いというシイラでした。

シイラは漁獲時期が短く鮮度管理が難しいうえ、ヒスタミン中毒のリスクもあることから、取り扱いが敬遠されがちな魚だとされています。

シイラ(提供:PhotoAC)

そこで「無駄にせず活かす方法」を探る中で出会ったのが魚醤です。

少量でも加工でき、内臓を含めて余すことなく利用でき、さまざまな料理に使える調味料。さらに生徒たちは、製造期間を大幅に短縮できる特許製法を持つ専門機関を紹介され、約1か月で完成する減塩(塩分約10%)の魚醤づくりに挑戦しました。

うま味成分が多く、魚臭さを抑えられる点も特徴だといいます。

魚醤「おいしいら」が誕生

開発の過程では、札幌市内のイベントでマーケティング調査も実施し、魚醤の認知度やイメージ、使いやすさについて来場者の声を収集しました。

少量容器で、親しみやすく、「使ってみたい!」と感じてもらえる商品づくりが重要だという結論に至り、ラベルおよびPOPのデザイン、首掛けPOPの手書き制作まで生徒たち自身が手がけた点も、この商品の“らしさ”といえます。

おいしいら(提供:ソーシャルアクションネットワーク)

未利用魚という“課題”を、毎日の料理で使える万能調味料へ──。

魚醤「おいしいら」は、昨年11月に開催された「LOCAL FISH CANグランプリ」で最優秀賞を受賞。さらに製品化にあたっては、生徒たちが“海の課題”に対するメッセージを手書きで記したラベル付きで販売されるそうです。

魚醤「おいしいら」が購入できる場所は、JR小樽駅構内の「駅なかマートTARCHE(タルシェ)」の店頭とオンラインショップのほか、株式会社101が運営する回転寿司店(函館漁火/えりも岬/余市番屋)などです。また「小樽海洋水産」の通販サイト「小樽海鮮(うみせん)」でも取り扱う予定としています。

販売数は230本を予定。気になる方は早めにチェックしましょう。

※2026年2月17日時点の情報です

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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サカナに特化したメディア『サカナト』。本とWebで同時創刊。魚をはじめとした水生生物の多様な魅力を発信していきます。

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