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体表のぬめりが特徴的な高級魚<ババガレイ> 別名ナメタガレイの粘液の役割とは?

魚の中でも種類の多いカレイたち。

スーパーへ行くとマガレイ、ヤナギガレイ、クロガレイなど様々なカレイが並ぶ地域もあり、おすすめの食べ方も焼いたり煮たりとカレイによって異なります。

今回はそんな種類が豊富なカレイの中でも、高級魚として人気の「ババガレイ」を紹介します。

かつては幻の魚となった「ババガレイ」

ババガレイはカレイ目カレイ科ババカレイ属に属する魚です。北海道の太平洋岸、水深450メートル以浅に多く生息しています。全長50センチ前後で楕円形の肉厚なフォルムをしています。

ババガレイ(撮影:川辺真理子)

漢字で表すと「母々鰈」「婆鰈」。一説によると「褐色の体色、体表の不明瞭な暗色斑や粘液から、冴えない、きたない、老婆のようだ」ということからその名が付いたとされています。

女性からしてみると何ともショッキングな由来ですね。

ババガレイ(撮影:川辺真理子)

また、ぬめりが多いことから「滑多鰈(ナメタガレイ)」と呼ばれることも。こちらの名前の方が親しみを感じる人もいるのではないでしょうか?

あまり良い呼び名とは言えないですが、美味しさは格別。東北地方では年越しや正月の料理として珍重されています。

一時は幻の魚に 近年も漁獲量は多くない

1960年代には1000トン以上あった漁獲量も1986~1996年には10トンを下回り、幻の魚になりかけました。その後回復は見せたものの、近年も漁獲量は多くはありません。

かつては油粕の原料として用いられていましたが、現在は鮮魚としてババガレイそのものを味わうようになり、高級魚として高値で取引されています。

可愛らしさと、ヌルヌルが特徴的

おちょぼ口に厚い唇、体の大きさの割にちょこんと付いた胸びれ。ババガレイは、よくよく観察してみると可愛らしい魚です。

ババガレイの顔(撮影:川辺真理子)

うろこは粒状に小さく、皮膚の下に埋没しているため、調理の際のうろこ取りに手間はかかりません。

しかし、厄介なのは体表の粘液。あまりにヌルヌルしていることから「アワフキ」とも呼ばれます。魚独特の生臭さを解き放つ原因がこの粘液。包丁や金たわしでよくこそげ取ってから調理しましょう。

ババガレイの体表の粘液(撮影:川辺真理子)

魚類の皮膚は真皮(しんぴ)、その上にある表皮(ひょうひ)で構成されています。カレイから出たこの粘液の正体は、表皮を保護するために分泌されるものですが、鱗のない魚類ほど粘液細胞がよく発達すると言われています。

粘液の役割とは?

では、この粘液は一体何のために分泌されているのでしょうか?

鱗で体表を覆わない魚は表皮を保護する必要があります。目に見えるものだけでなく、小さなもので言うとウイルスや細菌からも身を守るため、粘液を分泌します。

ババガレイの体表の粘液(提供:PhotoAC)

他にも、水との摩擦を減らしたり、浸透圧を調節したり、海底に接着する機能も果たします。

カレイの中でも比較的大きなババガレイ。この粘液によってバッチリ防御機能と暮らしやすさを実現しているのです。

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川辺真理子

川辺真理子

釣り人兼体験系水産ライター

「魚を釣って食べたい。昆布を干してみたい。漁場を荒らす生物の生態を調査するため船に乗りたい」海を、魚を、水産を、体験しながらのライター活動をしています。約20年暮らした東京から北海道へUターンしました。さばくのが気持ち良い魚はホッケ、むいて楽しいのはホッキ。

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