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「絵を通じて海の魅力を伝え、環境問題に関心を」イラストレーター・高枝 鋏さん

サカナに特化した本屋・SAKANA BOOKS(サカナブックス)で今年8月からスタートした水生生物クリエイター向けの棚貸しサービス『SAKANA APARTMENT(サカナアパートメント)』。

今回はSAKANA APARTMENTの401号室に現在入居中の高枝 鋏さんに、活動への思いを語っていただきました。

高枝 鋏:水生生物をモチーフとして作品を制作。生き物系イベントやアートギャラリーにて作品の展示・発表を行う。

海への憧れを絵に

━━━まずは制作をはじめたきっかけと現在の活動について教えてください。

大学では3DCG(コンピューターグラフィックス)の映像制作を学んでいて、卒業後はそのまま映像系の会社に就職しました。ただ、当時は映像系というとものすごくブラックでして…(笑)新卒で入った会社で残業が月100時間あったり、それでいて残業代がつかなかったりということがあって辞めてしまいました。

その後、自主制作をやろうと思ったのですが、当時はソフトが高額で制作のハードルが結構高かったんです。その時にふと、絵だったら紙とペンがあれば今すぐに始められるじゃん!と思ったのがきっかけで絵を描くようになりました。絵を描くことは昔から好きだったのですが、自分はそこまで絵が上手ではないと思っていたので、大学ではより就職しやすい学科に進みました。

今は本業を別でやりながら、副業のような形で創作活動をしています。海の生きものをメインに絵を描いたり、海の生きものの観察録の制作などが中心です。生き物系イベントへの出展や、ギャラリーでの展示等で作品を発表しています。

━━━海の生きものを題材にしたことには何か理由がありましたか。

もともと海に対する憧れが強かったです。宮城県の内陸出身だったので、海水浴ができるような海までは少し距離がありました。私が子どもの頃は25度を超える日が一週間もないくらいだったので、あまり海水浴にも行けず、行けないからこその憧れが募っていきました。そういったこともあり、子どもの頃から水族館や海が好きでしたね。

あとは系統樹的に人間と遠い生きものに惹かれるというのも理由の一つです。人物の絵を描いていた時期もあったんですけど、なんとなく感情移入してしまいやすいというか…。

━━━ちなみに、好きな水生生物は何ですか?

基本的には一つの生きものが好きというよりも海全部が好きなので、一番好きな水生生物といわれるとちょっと困っちゃいます(笑)。強いていうなら、最近はイカとかタコとか、軟体動物が好きです。イカは体色が変化するのですが、それが純粋に綺麗だなと。タコは人と遠いのに、頭がいいからなのか行動に人間っぽい一面があったりするところがかわいいなと思います。

目立たない生きものにも目を向けてもらいたい

━━━サカナアパートメントでもイカタコのシールを置いていますね。表現する上で気をつけていることはありますか。

そうですね、例えばイカは生きている状態だと体色が虹色に変化するんですけど、その美しさを再現したいなと思って描いています。生きものの生き生きとした姿を描きたいので、レイアウトやポージングの参考に画像検索をしたり、動画を見たりして、どういうふうに動くんだろうということは考えながら描きます。

Ⓒ高枝 鋏

背景の海を含めて描くときには、海全体の空気感や雰囲気が伝わるように意識していますね。こんなに素敵な世界がある、ということが見ている人に伝わればいいなと思っています。

もともと趣味でダイビングをやっているということもあり、サンゴが生えていたり、海藻が生い茂っていたりするような景色まで含めて海全体が好きなので、メインの生きものだけではなくて細かい部分にも興味を持ってもらえたら嬉しいです。

最近は付着生物などのあまり目立たない生物のことを調べたりしているんですけど、絵を通して目立たない・あまり意識されない生きものにも目を向けてもらいたいと思って描いています。

活動を通じて広がる繋がりや思い

━━━活動を続ける中でどんな時に楽しさを感じますか?

「こういうふうに描きたい」というのを表現できたときは嬉しいですね。あとは、イベントに出展しているときに、見てくださった方と生きものについて語り合えたり、さりげなく描いた生きものについて気付いてもらえたりすると楽しくなります。

Ⓒ高枝 鋏

以前、深海をモチーフとした作品を制作した際、ゴカイを描いたんですが、それをわかってもらえたときは嬉しかったですね。自分がいいモチーフだと思ったものに気づいてもらったり、実際にダイビングに行って作成した図録をみて、あそこの海は〇〇だよねとか声をかけてくれる方がいたりするので、そういうことがすごく楽しくてイベントに出展しています。

絵をきっかけに話が広がったり、水生生物が好きな人と繋がれたりというのも楽しさのひとつですね。

━━━それでは最後に今後の展望について教えてください。

作家活動は続けるのがなかなか難しいので、まずはなるべく長く続けていきたいと思っています。それから、もう少し個人での活動の枠外のことを出来たらと思っています。というのも、私自身、ダイビングを続けていて、海の環境が変わってしまっていることを感じています

例えば、温暖化による水温の変化だったり、サンゴの白化だったり…。そういったことを実際に海に潜って痛感しているからこそ、環境のために何かしたいという気持ちがあります。私一人の力ではできることに限りがあるので、絵を通して「こんな素敵なところがあるよ、こんな生きものがいるよ」というのを伝えることで、小さな取り組みが少しずつでも広がってほしいと思っています。それには多くの人に見てもらうことが必要かなと。そもそも知らない、気づいていないという部分だと思うので、ひとつのきっかけとして、絵を通して海や水生生物の魅力を伝えていきたいです。

SAKANA APARTMENT(サカナアパートメント):本屋・SAKANA BOOKS で 2023 年 8 月から行っている棚(部屋) 貸しサービス。水生生物をモチーフに創作活動を行うクリエイターのグッズや絵が並ぶ。現在、空き部屋あり(入居者募集中)。
(サカナト編集部)
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サカナト編集部

サカナト編集部

サカナに特化したメディア

サカナに特化したメディア『サカナト』。本とWebで同時創刊。魚をはじめとした水生生物の多様な魅力を発信していきます。

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