あれは干潮時の海、砂地での出来事でした。何気なく砂を触っていると、突然指先にチクッと針の刺さるような痛みを感じたのです。
見るとそこには世にもグロテスクな毛の生えた生物がいるではありませんか。
この生物の正体はウミケムシ。この記事ではウミケムシの生態や、刺された時の処置法をご紹介します。
ウミケムシとは?
ウミケムシは、環形動物門多毛綱ウミケムシ目に分類されています。環形動物(かんけいどうぶつ)とは、体節に輪状の構造がみられる生き物のことで、ゴカイやミミズもその仲間です。
体長は約8〜14センチで、暖かい海を好んで生息しています。ウミケムシは夜行性なので、昼間は主に石や砂の下にいますが、夜は活発に動き回っています。
灯りに向かって泳ぐ習性があり、夜釣りの際には針にかかってしまうことも。毒を持つため触れると危険で、特に釣り場では厄介者として扱われています。
毒の成分はコンプラニン
ウミケムシの体には剛毛と呼ばれる細い毛がたくさん生えており、この毛の中にコンプラニンという毒を溜めています。
素手でウミケムシに触れると、この剛毛が刺さり、毒が注入され、痛みやかゆみを伴う炎症が起こります。剛毛には石灰質の成分が含まれているため、とてももろく折れやすいです。
筆者がウミケムシに触れてしまった時にまず感じたのは、針が連続して何本もチクチク刺さるような痛み。刺された瞬間、すぐに手を引っ込めましたが、指先をみると剛毛がびっしり20本程残っていました。ウミケムシの毛は束状に生えているので、一瞬触れただけでも多くの剛毛が刺さってしまうのです。
剛毛を除去に活躍したのは……
そして、この剛毛を除去するのが非常に大変でした。最初は爪の先を使って取っていたのですが、すぐに剛毛が折れて皮膚の中に残ってしまいました。
そこで活躍したのが車の中にあったガムテープ。粘着面を幹部に貼り、ゆっくり剥がすと綺麗に剛毛を除去することができ、筆者の場合はその日のうちに痛みが引きました。
ウミケムシに刺されてしまった場合は、まず粘着性のガムテープやセロテープを使って、剛毛が皮膚に残らないよう除去します。そして、患部を綺麗な水で洗い流してからアルコール消毒をし、抗ヒスタミン剤があれば塗布しましょう。
処置をしたあとで痛みやかゆみ、腫れが続く場合は速やかに病院を受診しましょう。
いつかウミケムシが救世主になるかも?!
厄介者として扱われるウミケムシですが、過去の研究ではウミケムシの毒を抽出し人工合成することに成功しています。これは新たな抗炎症剤の開発に繋がる成果であるとのことです。
もしかすると、この厄介者のおかげで助けられる日が近い将来くるかもしれませんね。
(サカナトライター:草間あやめ)