東京都豊島区にあるサンシャイン水族館は今月、明治大学総合数理学部・中村聡史研究室と共同でペンギン個体識別システム「ペンさく」の実証実験を行いました。
「ペンさく」はスマートフォンからアクセスできるWEBサイトで、ペンギンの特徴を描きこむことで個体識別が行えるといいます。
ペンギンのおなかの模様で検索
いま動物園や水族館では、生き物の「個」の魅力の発信によって新たな発見やより深い関心を促し、それを「種」や生物本来の生態・保全などにつなげていくという取り組みが注目を集めています。
そこで、サンシャイン水族館では、個体ごとの特徴や生態への理解を深めてもらうため、新たな取り組みとして明治大学総合数理学部・中村聡史研究室が開発したペンギン個体識別システム「ペンさく」を水族館来場者に体験してもらう実証実験の場を提供することになったそう。

「ペンさく」の操作イメージ(提供:PR TIMES)
「ペンさく」では、生き物の特徴を手書きで書きこむことで、その特徴に類似した個体が検索可能。生き物の特徴を手書きすることで個体を識別する仕組みは日本初(同研究室調べ)だそうです。
「ぬりえ」で個体を識別する仕組み
ペンさくでは、スマートフォン画面上のペンギンのイラストに観察したい個体の特徴となるおなかの模様を手書き入力。入力されたおなかの模様から個体識別を行い、類似度が高い順に検索結果が表示されます。
検索結果では名前や性別など観察している個体の情報が確認でき、理解を深めることができるといいます。

「ペンさく」の仕組み(提供:PR TIMES)
同研究室によると、将来的にはサービス化により日本全国・世界各地の水族館への展開を見据えたものだといい、個体の特徴や性格といった詳しい情報も提供していくことができるようになるとのこと。
さらには、例えば野生環境下における生態調査へ応用することで、野性生物の詳細な行動調査が可能となるなど研究分野への貢献も期待できます。
サンシャイン水族館で実証実験
ペンさくはぬりえ感覚で誰でも利用することができ、また能動的にぬりえで特徴を捉えることで、個体の覚えやすさや愛着を向上させる効果が期待できるといいます。

サンシャイン水族館での「ペンさく」利用の様子(提供:PR TIMES)
そして、屋外展示で自然光が豊かなサンシャイン水族館はペンギンを至近距離で観察できる絶好の環境であることから、今回の実証実験に選出。実証実験は10月15日~18日と10月20日~21日の計6日間で実施されました。
今後、同サービスが日本全国、世界各地の水族館で導入されるかもしれませんね。
(サカナト編集部)