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雑魚として扱われていた<アオメエソ> 実は脂が乗っていて栄養価が高い?

アオメエソという深海魚をご存じでしょうか? 通常、数センチ程にしかならない魚で、かつては雑魚として扱われていました。しかし、近年では甘味のある脂と高い栄養価が評価され、徐々に注目されつつある魚でもあるのです。今回はアオメエソについてご紹介します。

アオメエソとは

メヒカリ(提供:PhortoAC)

アオメエソとはヒメ目・アオメエソ科・アオメエソ属に属する魚で、体長は15センチ程までの小型種です。国内では相模湾から九州にかけて広く分布し、水深150~620メートルの大陸棚に生息しています。主に太平洋沿岸の底引き網で漁獲されており、重要な水産資源として知られています。

アオメエソにはメヒカリという有名な呼び名があり、この名は多くの地域で使われています。実際にアオメエソよりこちらの名前の方が通りが良いことも少なくありません。なお、メヒカリとアオメエソは、どちらの呼び名も鮮度の良いアオメエソの眼が青く輝いていることに由来しています。

また、名前にエソとつくもののエソ科に属するマエソやオキエソとは異なるグループに属するため、混同しないように注意しましょう。

アオメエソの種類

一口にアオメエソと言っても実に多くの種が日本に分布しており、2023年12月現在、日本国内には7種のアオメエソ科魚類がいると考えられています。7種のうち食用として流通するのはアオメエソ、マルアオメエソ、トモメヒカリ、ツマグロアオメエソの4種です。特にアオメエソとマルアオメエソはメヒカリと呼ばれ、多くの漁獲があります。

メヒカリの唐揚げ(提供:PhotoAC)

マルアオメエソはアオメエソに酷似した種で、流通上は区別されず、どちらもメヒカリとして扱われます。

両種は体長に対する眼の大きさがアオメエソの方が大きい傾向があることや、アオメエソは相模湾以南に分布するのに対してマルアオメエソは銚子以北に分布することで識別できるとされていますが、両種が同種であるとする研究結果もあります。つまり、今後「先取権の原理」に基づきマルアオメエソが消えてしまう可能性があるのです。

漁獲されたアオメエソとマルアオメエソは産地を中心に流通し、定番の唐揚げや干物をはじめ、鮮度の良い物が手に入る産地では刺身や寿司で食べられています。

トモメヒカリとツマグロアオメエソはアオメエソ科の中でも大きくなる種で、産地によっては大量に漁獲されるものの、流通する範囲はアオメエソほど広くありません。稀に特大のメヒカリとして扱われる時にはアオメエソより高値で取引されることもあります。

アオメエソの産地

アオメエソとマルアオメエソ(以下この2種をまとめてメヒカリ)は深場に生息する上に小型種であるため、漁獲法は底引き網に限られています。底引き網ではごく普通に漁獲される魚で、網を曳けば必ずと言っていい程メヒカリが網に入ります。かつては雑魚扱いでしたが、値が付くようになったのでメヒカリを狙いに網を曳くこともあるそうです。

底引き網でメヒカリを漁獲の対象としている地域は多く、中でも産地として有名なのが、駿河湾、愛知県、福島県、宮崎県、高知県、茨城県、鹿児島県で、宮崎県と福島県ではプライドフィッシュに選定されています。

メヒカリは足が早い(鮮度の低下が早い)ことから、かつてはこれらの産地で消費されていた魚でしたが、現在では築地でも普通に見られる魚になっており、産地ではない地域の魚屋でも見かける機会が多くなりました。

産地ではメヒカリをさらにメジャーにするべく様々な商品開発・PRが行われており、次第にその認知度も高まっています。愛知県の水産加工品会社である有限会社「まんてん」では愛知県の小中学校の給食用にメヒカリを出荷している他、「メヒカリ油漬け」、地元高校との共同研究で「メヒカリ魚醤」を開発し、全国へ向けて販売をしています。

かつて雑魚として産地で消費されていたメヒカリですが、現代では値段が付き、産地以外でも見られる魚になってきました。栄養価も高く料理のレパートリーが多いことから、今後ますます注目されていくのではないでしょうか。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

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