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5種類の貝殻を用意して<UVライト>を当ててみた その意外な結果とは?

「UVライト」は紫外線を放射することで、ほこりやカビなどの蛍光物質を光らせてくれる便利な道具。工業や医療だけではなく、日常生活でも活躍しています。

UVライトの用途は多岐にわたりますが、ただ単に身近な物へ放射することにより思わぬ発見が得られることもあるのです。

その一つが、貝殻。海辺に住む人にとって非常に身近なものですが、UVを照射することにより“光る貝殻”があることを知っていますか?

種類の異なる5種類の貝殻を用意して同定する

ほこりやカビはUVを当てることで光りますが、実は貝殻にも蛍光物質が含まれている種がいます。

貝殻によって蛍光物質が含まれることを確かめるため、今回は種類の異なる5種類の貝殻を用意しました。

ただ単にUVを照射してもよいのですが、せっかくなので貝殻の同定をしてからUVを当てたいと思います。

5種の貝殻(撮影:まうまう)

同定には古本屋で購入した『日本の貝』(著:奥谷喬司/小学館)を使用し、より詳しい内容はネットでより見た目の近いものを検索して可能な範囲で同定しました。

貝殻初心者なので誤同定があるかもしれませんが、ご容赦ください。

ベッコウガサ

まずは円錐形をした貝殻の同定を行いました。

ベッコウガサ(撮影:まうまう)

このタイプの巻貝は似た形状の種が多いものの、本種はヨメガカサガイ科に分類されるベッコウガサと思われます。

近縁種カサガイやヨメガカサガイによく似てますが、貝殻は高く、貝殻の内部の中央部は濃い褐色であること、殻の表面にも褐色の短い斑が放射状に散在することなどから区別できるようです。

直感では、この殻表の褐色班がUVに反応すると予想しています。

キヌタアゲマキ

楕円形の二枚貝は恐らくキヌタアゲマキ

キヌタアゲマキ(撮影:まうまう)

砂浜によく落ちているミゾガイに殻の形が似ていますが、本種の殻はミゾガイよりもやや厚めで丈夫な印象です。図鑑によれば、房総以南の各地の潮間帯下の砂地に生息し食用になるといいます。

太い水管を持ち、刺激を与えると水管を輪上に自切する生態があるようです。

ヒバリガイモドキ(?)

5種の中で一番変わった形をしている貝殻はイガイ科の二枚貝です。

海辺でよく見られるイガイ科はムラサキイガイ、モドリイガイなどがいますが、以外にもイガイ科は種数が多く、酸を出して石灰岩を溶かす穿孔性のイシマテガイ、殻皮毛と呼ばれる毛を持つヒバリガイなど、イガイ科特有の形状は共通しつつも様々な形態を持つ種が属しています。

ヒバリガイモドキ?(撮影:まうまう)

一方、イガイ科は似ているものが多いため、図鑑を使用しても初心者には同定が難しいグループと感じました。今回、用意したイガイ科の貝はクジャクガイ、ヒバリガイモドキ、ヒメイガイに似ていますが、特にヒバリガイモドキによく似ることからヒバリガイモドキとして扱っています。

ウズイチモンジガイ

ウズイチモンジガイ(撮影:まうまう)

ピンク色のドリルのような見た目をしたこの貝殻はニシキウズガイ科の巻貝です。

ニシキウズガイ科は複数知られていますが、用意した貝殻はウズイチモンジガイに該当すると思われます。本種は近縁種のハクシャガイによく似ているものの、ハクシャウズは殻底と殻口入口付近にピンク班があることが特徴。

さらに、サザエ科のウラウズガイにもよく似ますが、蓋の質感が異なることで区別できるといいます(番所崎貝類・同定ガイド)。

赤い二枚貝

最後に同定するのは、今回用意した貝殻の中で恐らく一番スタンダードな形をした種です。

赤い二枚貝(撮影:まうまう)

しかし、大きな特徴がないため、該当するグループすら分からず、同定は難航。強いて言えばチリボタンというイタヤガイ目の二枚貝似ているのですが、大きな根拠がないため無理な同定は行わず、単に赤い二枚貝とします。

貝殻にUVを当てる

思いの外、貝の種類が多く同定に手間取ってしまいましたが、いよいよUVを放射してみます。

まずは直感でUVに反応すると予想していたベッコウガサに、ダンボールで作った暗所でUVライトを照射してみました。

UVを当てたベッコウガサ(撮影:まうまう)

予想では殻表に点在する褐色班がUVに反応して発光すると思いましたが、反応はありませんでした。

左:キヌタアゲマキ、右:ヒバリガイモドキ(撮影:まうまう)

見方によっては貝殻全体が青く光っているようにも見えますが、UVによる発光とは言えないでしょう。

その後、キヌタアゲマキ、ヒバリガイモドキにもUVを照射したものの、これといった反応はありませんでした。

ウズイチモンジガイが顕著に光った

今回、用意した貝殻がどれもUVに反応しないのではないかと不安になりつつ、ウズイチモンジガイにUVを照射したところ顕著な発光が見られました。

UVを当てたウズイチモンジガイ(撮影:まうまう)

部分的な発光ではなく、殻表全体が発光しただでさえ美しいウズイチモンジガイがより美しく見えます。

蛍光物質を持つ貝殻が存在することは知っていたものの、実際に見るのは初めてだったため驚きです。

UVを当てた赤い二枚貝(撮影:まうまう)

ウズイチモンジガイはこれまでにUVを当てた3種の貝殻と異なり、鮮やかピンク色の色彩を持つことから、ピンク色ないし赤色の貝殻は蛍光物質を持っているのでは?と考えました。

しかし、期待とは裏腹に赤い二枚貝にUVを当てても発光は見られず、むしろ、殻表が暗い色に見えるくらいでした。どうやら、蛍光物質を持っているか否かに殻の色は関係していないようです。

発光する貝殻は結構あるらしい

今回は科の異なる5種の貝殻にUVを当てて実験してみました。

蛍光物質を含む貝殻は他にも多くあるらしいので、皆さんも身近な貝殻にUVを当てて観察してみてください。その際、UVライトが目に当たってしまわないよう十分に注意しましょう。

(サカナトライター:まうまう)

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まうまう

魚が好きで時々釣りへ行って魚観察をしています。特に好きな魚は深場に生息する魚たちです。

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