世界における取り組みは?
持続可能な漁業で獲られた水産物であることを証明する国際的な認証制度「MSC認証(サステナブル・シーフード)」の導入のほか、調査に基づいた漁獲量の管理、漁期や漁場の規制、海洋保護区の定め、科学やAIを使ったデータ採取など、世界中で持続可能な漁業への様々な取り組みが開始されています。
現在では、日本でも持続可能な漁業に関する様々な取り組みが開始されています。2020年〜2021年には「改正漁業法」「水産流通適正化法」の2つの法案が成立しました。
「改正漁業法」は漁業者から提供された漁獲・水揚げ量などをもとに、漁獲枠の上限を決めるなどの「管理漁業」にシフトする法案です。科学的な根拠をもとに、資源管理の目標を定め、効果的な資源量管理措置を実施します。これにより、乱獲や未成魚の漁獲に対する規制や違法漁業の取り締まりを強化します。
「水産流通適正化法」の目的は違法漁獲物を市場から排除すること。違法漁獲物が蔓延してしまうと、魚が繁殖する前に過剰に獲られてしまったり、正規の漁業者が価格競争で不利になり漁業を続けられなくなったりと、日本の漁業に大きな悪影響を及ぼしてしまいます。
そのため、国内漁獲物のトレーサビリティー(どこで獲られた魚か追跡できる)や国外からの違法漁獲物の流入防止が鍵となります。
これらの取り組みはどれも「魚が自然に再生産するスピードを上回って獲り過ぎない」ことを目標にしています。
持続可能な漁業への取り組みで魚資源は回復するのか
2025年現在、FAO(国際連合食糧農業機関)によると、持続可能な漁業への取り組み管理が上手くいっている地域では、魚資源が確実に回復しているといいます。
実際に、北東太平洋や南西太平洋、南極海では85%〜100%の魚の群れが健康な状態に保たれており、さらにこの海で獲れる魚の約96%〜100%が持続可能な資源であることと判明した調査結果もあるようです。
はたして、「2048年問題」で予想された最悪の結末からいい方向へと変わっていくのでしょうか。
今の私たちにできること
魚が減少しつつある現状を少しでも改善するために、私たちは何をすべきなのでしょうか?
一般市民でもできるのは、ゴミのポイ捨てしない、ゴミの分別をするのはもちろんのこと、昨今、世界で推進されているMSC認証を受けた水産物を選ぶことです。
MSC認証は、「この魚は、自然の海を壊さない方法で獲られました」ということを証明しているもの。たとえば、魚が増えるスピードをこえるほど獲りすぎないといったルールを守っていたり、海の生きものたちの暮らしを邪魔しないように漁をしていたりするなど地球や海にやさしい漁業にだけ与えられます。
みんながMSC認証の水産物を選ぶことで、いつまでも美味しい魚を食べ続けることのできる未来を守れるかもしれません。
(サカナトライター:ティガ)
参考文献
ELEMINIST-直近1年間の世界平均気温が史上最高 1.5℃を上回る
WWF-世界の海から、魚たちが消える日|私たちができることはあるか?
Marine Stewardship Council-MSC「海のエコラベル」とは
日本財団-海のおいしい魚を守るため「サステナブル・シーフード」を食べよう!
Social Act Career-持続可能な漁業とは?海と魚の今と日本の取り組み
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