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体色の分布パターン

サワガニの体色の分布パターンを調査した結果では茶色型(DA)が日本列島で広く見られことが明らかになりました。

その一方で、青色型(BL)や赤色型(RE)、その他のタイプは局所的に分布することもわかっています。

体色タイプの地理的分布を示す地図 ※幼体は成長に伴って体色が変化する(提供:学校法人常翔学園)

また、茶色型と赤色型に関してはミトコンドリアDNAとSNPsどちらでも差がないことがわかり、この体色の異なる2タイプは周辺環境や食べる餌による変異であると推察されました。

さらに、同じ体色を持つサワガニであっても異なる集団に含まれれていることもわかっており、体色のみで集団を識別することは不可能であることが示されたのです。

その一方で、青色型から成るsKK集団、茶色型と赤色型で構成されるHO集団のように偏った体色タイプを持つ集団においては、色と地理的情報を用いることにより、これらの集団を識別できる可能性があるといいます。

サワガニ種群の分岐順序(提供:学校法人常翔学園)

また、集団の分岐順ではSHI集団、HO集団が分化し、九州の3集団がほぼ同時に分化していることが判明し、サワガニ種群の進化史において青色型は独立に2回出現したこともわかっています。

謎が残るサワガニ

今回の研究により、サワガニ種群の遺伝的集団構造とサワガニの体色タイプと地理的分布の関係が明らかになりました。

サワガニは地域によって絶滅危惧種に指定されていることから、各集団の保全を検討する上で簡単な識別方法の模索は重要だといいます。

今度の研究でサワガニ種群の体色を決める要因や各集団の形態や生態の違いなど、さらなる謎の解明が期待されています。

(サカナト編集部)

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