生食でも鍋でもおいしい牡蠣(以下、カキ)ですが、年中見かけるように思います。
「今が旬!」とよく見るけれど、実際にはどの季節が旬なのでしょうか。また、どのような種類のカキがあるのか知っていますか。
<夏のカキ>は丸いのが特徴?
夏が旬のカキと冬に旬を迎えるカキは、よく見ると少し違う形をしています。
それもそのはずで、旬の時期が違うのは、カキの種類が違うからです。
夏に旬を迎えるのは「イワガキ」

夏に旬を迎えるのは「イワガキ」(岩牡蠣)という種類で、5月~9月が食べ頃。産地は、石川県の能登や秋田県の象潟などが有名です。
見た目の特徴として、丸い形をしており、殻が黒色で表面が少しなめらかなのが主な特徴です。また、養殖が少なく、天然ものが多く流通しているのも、特徴といえます。
細長いのが特徴<冬のカキ>
冬に旬を迎える種類は「マガキ」(真牡蠣)です。こちらは北海道から九州、朝鮮半島、中国大陸沿岸部まで幅広く分布しており、養殖もさかんに行われています。

養殖で名産地とされるのが、北海道の厚岸湾、宮城県の松島湾、東海から関東地方に位置する伊勢湾があります。
10月から4月に旬の時期を迎え、見た目も平たく細長い形をしており、殻は薄く黄色っぽい色をしているのが特徴です。
カキを食べてはいけない時期はある?
カキをはじめとする二枚貝には、ノロウイルスの危険があります。
食品からの主な感染経路として、生食や加熱が不十分な二枚貝を食べたことによるものが多いです。生食をする二枚貝といえば、やはりカキでしょう。
特に冬の12月頃から1月にかけては食中毒発生件数も多く、注意すべき期間といえます(厚生労働省-ノロウイルスに関するQ&A)。
冬の期間は、ノロウイルスの繫殖力が最も強くなる低温・乾燥環境が揃いやすいために感染が広まります。
食中毒対策はしっかりと!
ノロウイルスや他の食中毒でも同様ですが、対策として「調理前の手洗いを徹底すること」、「食品内部をしっかりと加熱すること」が重要です。ノロウイルスは食品の中心部を85度~90度で90秒間以上加熱することで、感染を予防できます。
カキを生食する場合、カキを加熱しウイルスを死滅させることはできませんので、ノロウイルスを完全に予防することは難しいといえます。
しかし、カキの殻や身を触った手で調理器具を触り感染(二次感染)を広げることは、しっかりと手や調理器具を洗うことで防ぐことができます。ノロウイルスはごく少量のウイルスで感染してしまうので、手洗いや消毒を徹底しておこないましょう。
カキは1年を通して人気が高い食材です。ノロウイルスの感染リスクを十分に理解した上で、カキを楽しみましょう!
生ガキも美味しいですが、カキ鍋やカキフライ、オイスター炒めなど、加熱処理を伴う美味しい牡蠣料理もたくさんあります。これらの牡蠣料理に目を向けてみるのも良いかもしれませんね。
(サカナトライター:せんば千波)