東京都杉並区・高円寺にある書店「蟹ブックス」が、2025年9月1日で3周年を迎えました。
周年ごとに“蟹”と向き合う、ユニークな企画を行ってきた同店。
今年は、主人公である研究者・キリコと生きものたちの不思議な交流を描くSF漫画『琉球蟹探訪』(小学館クリエイティブ)の作者・さとかつさんを迎え、『蟹探訪展』を9月30日まで開催中です。
蟹ブックスとは?
高円寺駅南口から徒歩4分。パル商店街を行った先にある路地に、ぴょこっと顔を出す蟹のイラスト看板。その建物の2階に「蟹ブックス」はあります。
12坪ほどの店内には、幅広いジャンルの本がぎっしり。棚にジャンル名の表示などはありませんが、だからこそ訪れた人は自分なりにテーマを想像しながら、本と偶然の出会いを楽しむことができます。

店名は店主・花田菜々子さんらが「蟹ってなんかいいよね」と直感で決めたもの。かわいらしさと力強さ、そして横歩きという独特の愛嬌──そんな愛すべき“蟹のキャラクター性”が、この店の雰囲気にもしっくりきたそうです。
“蟹” と向き合う、ユニークな周年企画
蟹ブックスでは普段から様々なイベントや展示を行っていますが、その中でも大きな節目となるのが毎年9月の周年イベントです。店名にちなみ、年に一度“蟹”にちなんだユニークな企画が恒例となっています。
1周年の2023年には「高円寺かに会議」を開催。公開トークでは多彩なゲストが蟹について語り合い、普段は静かな本屋がにぎやかな蟹サロンのように盛り上がりました。あわせてイラストレーター・かわさきしゅんいちさんによる特別展「カニ展」も開かれ、緻密な甲殻類のイラストに多くの来場者が魅了されました。

2周年には漫画家/イラストレーターのスケラッコさんを迎え、「スケラッコ ベスト展」を開催。原画展示に加えて、蟹をモチーフにしたオリジナルグッズが店内に華を添えました。こうして毎年9月には、蟹ブックスならではのユニークな周年企画が続いています。
絶賛開催中『蟹探訪展』の見どころ
そして迎えた2025年のテーマは『蟹探訪展』。店内では、生きもの漫画『琉球蟹探訪』で注目を集める、さとかつさんの原画展示が行われています。
作品の大きな魅力である細かい絵の描き込みはもちろん、ところどころ修正の跡も残っており、作者が絵(蟹)と格闘した痕跡が伝わってきます。原画ならではの迫力を、ぜひ書店で体感してみてください。
オリジナルの蟹グッズも見どころです。今回の展示のために制作されたZINE『蟹邂逅図譜』には、蟹のカラーイラストに加えて、蟹ブックスを舞台にした書き下ろし漫画が収録。「蟹とは?」という深いテーマにも触れた内容で、こちらも見逃せません。
そのほかにも“かにシール”やポストカード、アクリルスタンド、Tシャツなどが並び、蟹好きにはたまらない内容となっています。
9月6日(土)には、さとかつさん本人が「蟹ブックス」に来店予定(12時~16時予定)。直接、「蟹愛」を語り合える貴重な機会になりそうです。

<「蟹ブックス」店舗情報>
〒166-0003
東京都杉並区高円寺南2-48-11-2
営業時間:12:00~20:00(木曜定休)
(サカナト編集部)
参考文献
サカナトー小さな蟹からはじまる<いきもの×SF物語>? 漫画『琉球蟹探訪』ブックレビュー