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近縁種のサメ

メガロドンは、現在では絶滅したオトドゥスというサメのグループと考えられています。そして、オトドゥスはメガロドン以外も巨大ザメぞろいだったのです。

なかでもオトドゥス・チュブテンシスは全長約13.5メートル、オトドゥス・アングスティデンスは全長約12メートルに達する巨大ザメでした。彼らはメガロドンの祖先という説もありますが、生息年代が重なっていることから、捕食者としてライバルだったとも考えられます。

なお、強肉食性のマッコウクジラの頭にオトドゥスの仲間が噛みついた痕跡も見つかっており、両者の間に熾烈な争いがあったことがうかがえます。

別系統のサメ

ヘミプリスティス・セラは、全長約6メートルに達したイタチザメの仲間。なんと、メガロドンの子どもを捕食していたと考えられています。

同じようにメガロドンの子どもの天敵だったのが、現在も繁栄しているヒラシュモクザメ。全長は最大で6メートルを超え、約1900万年前に地球に現れたとされます。

ホホジロザメの祖先も台頭し始めていました。コスモポリトドゥスは、約3000万年前に現れたホホジロザメの祖先と考えられています。全長は現在のホホジロザメとほぼ同じ、5~7メートル。肋骨に彼らの噛み痕がついた、当時のイルカの化石もみつかっています。

これらの現生種やその祖先とメガロドンの競争の結果は、いうまでもないでしょう。メガロドンは、彼らとの競争に負けたのです。

メガロドンを捕食するメガロドン?

メガロドンの噛み痕がついたメガロドンの化石が見つかっています。つまり、同種間で激しい争いがあったと考えられます。

メガロドンの歯の化石(提供:PhotoAC)

ホホジロザメは共食いをすることが知られており、メガロドンも同種を捕食していた可能性があります。

母親の胎内でも共食いをしていたかもしれません。現在のシロワニは、胎内で兄弟にあたる卵や胎児を食べて成長することが知られています。

生まれてくる時点でかなりの大きさだったメガロドンも、胎内で共食いをして成長していた可能性があるのです。

敗者となったメガロドン

メガロドンと同時代の怪物たち。圧倒的な巨体を持ちながら、格下のはずのライバルたちとの競争に敗れ去ったメガロドン。

古代の海では、私たちの知る由のない競争が行われていたのでしょう。時には、現代まで続く広く長い海の歴史に目を向けてみてはいかがでしょうか。

(サカナトライター:浅川 千)

参考文献

ACIA PALALONTOLOGICA POLONICATーaphonomic and ecological insights from conspecific bite marks on Otodus megalodon teeth

Newsroom−Megalodon’s body size and form uncover why certain aquatic vertebrates can achieve gigantism

 

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浅川 千

浅川 千

転生するならマナティー希望

研究者を志して進学した大学で旅の魅力にとりつかれ、あれよあれよと脱線。サイエンスと人間文化の両面で自然の魅力を発信することが使命です。魚は見て楽しむべきか食べて楽しむべきか、それは永遠の課題……。

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