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マサカリテングハギを観察する

せっかくなので、長崎魚市場から我が家にやってきたマサカリテングハギをじっくり観察してみました。

マサカリテングハギの頭部背面は、到着してすぐは薄いブルーグリーンのV字模様が目立ってたことが印象的。眼の上から前方に走る線で、吻上でもう片方の線と繋がります。

マサカリテングハギ頭部背面のV字模様(提供:椎名まさと)

また、雄のテングハギ属は突起の色を目立たせることがある、ということが知られています。

マサカリテングハギの仲間で頭部が膨出するサザナミトサカハギという種がいますが、優位な雄がそのほかの雄に対して目立った色彩をした頭部を見せつけるということがあり、優位性のアピールや、雌の求愛に使うともされています。

ということは本個体は雄なのかもしれませんが、生殖腺を見た限りでは性別の確認はできませんでした。

よく似たトサカハギとの見分け方

マサカリテングハギによく似た魚にトサカハギという種がいます。

トサカハギは2002年までは Naso tuberosus(Lacepede,1801)なる学名で知られていましたが、マサカリテングハギが新種記載された同じ論文の中で、Naso tonganus(Valenciennes, 1835)がトサカハギのただしい学名とされました(N.tuberosusはインド洋にのみ分布する)。

両種は吻の突出部は明瞭に角ばっていて、輪郭が直線的なのがマサカリテングハギの特徴。これに対しトサカハギではやや丸みを帯び、大型個体では吻(上顎)端をはるかにこえて突き出すということで識別できます。

マサカリテングハギの顎歯(提供:椎名まさと)

歯の数にも差があり、マサカリテングハギは上顎に50~70本、下顎に44~72本の歯があることに対し、トサカハギでは上顎に25~46本、下顎に22~42本であることなどにより識別が可能です。ただし、釣りにより得られた個体では歯については折れていることもあり、同定する上では注意したほうがよいでしょう。

また、写真の上下唇が白っぽくなっていますが、これは傷がついて白っぽくなったというものではなく、マサカリテングハギの特徴です。吻部以外の外見については、マサカリテングハギはとくに体側の背部が突き出すということはないのですが、トサカハギは体側背部に目立つ隆起があることで見分けることができます。

さらに、マサカリテングハギの体側や背鰭・臀鰭には目立つ斑紋がないのに対し、トサカハギについては黒い斑点が多数あり、背鰭や臀鰭には黒い斑点が入り、白く幅広い縁があることでも区別することが可能です(ただし、トサカハギでもまれに斑点がないものがいる)。

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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