日本海を代表する海の幸「ズワイガニ」。各地でブランド化が行われており、初競りでは驚くような値が付くことも知られています。
そんなブランド蟹の一つとして知られる「加能ガニ」は、石川県で漁獲されるオスのズワイガニのこと。ぎっしり詰まった身と豊富な旨味が特徴です。
今年も加賀市の橋立漁港では11月6日にカニ漁が解禁される見込みで、翌年3月20日まで水揚げが行われます。
「加能ガニ」
「加能ガニ」は石川県で漁獲されるオスのズワイガニです。
この「加能ガニ」という名は、2006年に石川県内の漁協が1つに統合されたのを機に一般公募して名付けられた名称。「加能」とは、“加賀”と“能登”からそれぞれ1文字ずつ取ったものとなっています。
加能ガニ(提供:一般社団法人加賀市観光交流機構)石川県において「加能ガニ」は冬の味覚の一つ。甘みと旨味が豊富であることに加え、ぎっしりと詰まった身が特徴です。
また、石川県では冬のプライドフィッシュにも選定されています。
厳しい基準を満たした「輝」は500万円の値が付いたことも
日本海のブランド蟹といえば、初競りでの祝儀価格も有名でしょう。
「加能ガニ」も初競りでは驚くような価格が付くことがあり、特に「加能ガニ」の中でも厳しい基準を満たした「輝(かがやき)」は高値が付きます。2021年11月6日に行われた競りでは、「加能ガニ」として史上最高額である500万円という驚くような価格で競り落とされました。
メスのズワイガニもブランド化
一方、メスのズワイガニもブランド化されており、「香箱ガニ」と呼ばれています。
2022年にはオスのズワイガニ同様に最上位ブランドが設けられ、「輝姫(かがやきひめ)」の名が付けられています。「輝姫」は「輝」ほどではないものの高値が付き、同年に橋立港で水揚げされた「輝姫」は30万円で競り落とされました。
なお、オスのズワイガニの漁期が3月20日までなのに対し、メスのズワイガニは資源保護の観点から12月末までの漁期となっています。
橋立漁港こだわりのズワイガニ
石川県が誇る「加能ガニ」がこれほど良質なズワイガニが水揚げされるのには理由があります。
「加能ガニ」の水揚げがされる橋立漁港では、夜間にカニ漁を行う漁船が出船。翌日の日中まで十数時間の漁を行った後に橋立漁港へ帰港し、競りにかけられます。
競りの様子(提供:一般社団法人加賀市観光交流機構)この短時間の漁により、鮮度の高い「加能ガニ」を水揚げすることを実現しているのです。
徹底した品質の証
ブランド蟹は高値で取引されることから、産地偽装の対象となることもあります。
そのため、各漁港では消費者に産地と品質の信頼性を保証するため、プラスチック製のタグが用いられてきました。
「加賀市橋立港のタグ」オモテ(提供:一般社団法人加賀市観光交流機構)橋立漁港で水揚げされたオスのズワイガニには「石川」と「橋立港」と刻印された水色のタグに加え、黒色のタグには「加賀市橋立港」と漁獲した船の名前が付けられています。
石川県冬の味覚を味わおう
石川県のズワイガニ漁の解禁は11月6日。オスは翌年3月20日、メスは12月末までの漁期となっています。
この時季だけの味覚である「加能ガニ」を味わってみてはいかがでしょうか。
また、毎年恒例の初競りからも目が目が離せません。今年の最高値は一体いくらになるのか楽しみですね。
(サカナト編集部)