「アオザメ」という魚を聞いたことがありますか?
水族館ではなかなか見られないため、知らない方も多いかもしれません。しかし、アオザメはとてもカッコよく、魚好きの間でひそかに人気を集めています。
大学時代に海洋生物を学び、サメの研究会にも所属していた筆者。アオザメを知らない人も知っている人も、ぜひアオザメに少しでも興味をもってくれたら嬉しいです。
アオザメとは?
アオザメは、温帯から熱帯までの広域に分布しており、日本周辺でも多く確認されているサメです。
アオザメのイラスト(提供:IllustAC)本種は表層から最大888メートルに生息し、特に表層混合層(海面付近の水温変化が少ない層)にいる時間が比較的長いことが知られています。最大4メートルにもなる大型種で、大西洋におけるアオザメの最大全長は推定で445センチ、体重は553キロにも及ぶそうです。
一般的には目にする機会が少ないサメですが、延縄漁などでは混獲されることもあります。
アオザメの推しポイント
そんなアオザメですが、たくさんの魅力を持っているサメでもあります。
魅力その1「The サメ !」
まず挙げられるのが、一般的な“サメ”のイメージそのままの「鋭い歯」と「泳ぐスピードの速さ」です。
多くの人が「サメ」と聞いて思い浮かべるのは、映画『JAWS』に登場するサメのように体が大きく鋭い歯をもち、高スピードで泳ぐ姿かもしれません。しかし、水族館によく展示されているサメは、ネコザメやナヌカザメなど比較的おとなしいサメが多いです。
一方のアオザメは、鋭く尖った歯をもつ肉食のサメで、時にはイルカも捕食します。
また、泳ぐスピードはサメの中で最速。猛スピードでスピードで獲物を狙います。見た目は少し怖いですが、この「サメらしさ」がとてもカッコいいです。
魅力その2「おいしくて、役にたつ!」
アオザメは、体のさまざまな部位に利用価値があります。
身の部分は、刺身や煮つけ、練り物の原料として食べられ、ヒレはフカヒレとして販売されることが多いです。サメの中でも特に食べやすく、味も良いと言われています。
また、皮は料理のほか、革製品にも利用され、脊椎骨は医薬・食品原料に使われるなど食品以外での利用価値も高いです。日常の意外な部分で活躍してくれているアオザメに感謝ですね。
アオザメを見られる場所
アオザメの飼育は難しく、常時展示を行っている水族館はありません(2025年11月現在)。
しかし、過去には葛西臨海水族園や横浜・八景島シーパラダイスなどでの展示実績があるため、タイミングが良ければ水族館でも見られるかもしれません。また、マグロの延縄漁などで混獲され、市場に出回ることもあります。
アオザメに出会いたい方は、漁港や市場に行ってみるのもおすすめです。
アオザメを味わえるお店
アオザメ料理を提供しているお店をいくつかご紹介します。
なお、現在は提供・販売していない可能性もあるので、ご了承ください。
スパイスバル コザブロ(東京・本駒込駅)
東京メトロ・南北線の本駒込駅より徒歩5分ほどの場所にある「スパイスバル コザブロ」。スパイスの効いたおつまみやお酒、締めのカレーなどを提供しているお店です。
ここでは、アオザメの身を使った「サメのカレー」や串焼きを提供しています。
アオザメに限りませんが、サメ肉は淡白でさっぱりしており、とても食べやすいです。サメ肉のカレーを提供しているお店はなかなかないため、気になる人はぜひ訪れてみてください。
筑紫樓 恵比寿店(東京・恵比寿駅)
各線恵比寿駅より徒歩2〜3分のところにある「筑紫樓 恵比寿店」は、フカヒレ料理を中心とした高級中華料理店です。
そんな同店では、アオザメを使用した「フカヒレの姿煮」を味わえます。
速い泳ぎでは背ビレをよく動かすため、アオザメのフカヒレは肉厚。アオザメ自体の希少価値も高いため、とても人気の一品です。
極上市場 三陸未来(通販)
宮城県気仙沼市は「サメの町」としても有名で、サメ肉やフカヒレの加工工場が多くあります。
そんな気仙沼市内にある養殖業、鮮魚仲買業、水産加工業などの会社が集まって作られたのが、極上市場「三陸未来」というオンラインショップ。“食卓に美味しい海の幸を届けたい”という想いのもと、運営されています。
極上市場「三陸未来」では、なんと気仙沼の魚市場から直送された“新鮮なアオザメ肉”を通販で購入できます。
自宅でさまざまなアオザメ料理に挑戦してみるのも良いですね。
希少価値の高いアオザメ
アオザメは希少価値が高いですが、水族館や市場で運よく出会えることもあります。
少しでも興味をもってた人は、ぜひ水族館での展示情報を調べたり、アオザメを味わえるお店に行ってみたりしてくださいね。
(サカナトライター:水羽陽凪)