魚の消費量が多い日本では海外から輸入される魚も少なくありません。そんな輸入魚の一つであるメルルーサはタラの仲間で世界中で食用にされている魚です。
この記事はメルルーサについてご紹介します。
メルルーサとはどんな魚?
メルルーサはタラ目メルルーサ科に属する魚の総称で、この呼び名は学名のMerlucciusに由来しています。ヨーロッパ圏では別名ヘイクとも呼ばれており、メルルーサ科の1種であるヨーロピアンヘイクMerluccius merluccius(Kummel)はスペインでは欠かせない魚だそうです。
本種は日本でホンメルルーサと呼ばれており、主に冷凍加工品で流通。メルルーサはフライやムニエルの他、フィッシュアンドチップスの原料にもされています。
日本ではマダラやスケトウダラのように大型のタラ目魚類は北方に分布するイメージがありますが、メルルーサ科の魚たちは世界各地に分布し、地中海に生息する種もいれば南半球に生息する種もいるようです。
メルルーサという聞きなれない名前であることに加えて、切り身で流通することがほとんどであることから、メルルーサがどのような姿をしているかわからない人も少なくありません。
メルルーサの形を簡単に説明すると、背鰭が2基、臀鰭が1基のみであることに加えて第二背鰭と臀鰭は基底が非常に長いことが特徴で、日本でよく見るタラ科の魚とは明らかに異なった姿をしています。
実は日本でも漁獲されたことがあるメルルーサ
そんなメルルーサですが、実は日本でも漁獲されていた過去があります。
日本からはMerluccius australisとMerluccius productusの2種が記録されており、どちらにも標準和名が提唱されています。Merluccius australisは1992年11月に茨城県沖の水深500メートル程で漁獲され、阿部宗明博士により本種と同定されました。本種は茨城県沖で漁獲されたことから、茨城県の旧名である「ひたち」に因み「ヒタチダラ」と名付けられたそうです。
Merluccius productusは2006年に青森県八戸沖で操業していた底引き網船により漁獲された魚で、採集された個体は全長525ミリメートル、採集された水深は250メートルだったそうです。本種はメルルーサ属の特徴の一つである銀色の体色に因み「シロガネダラ」と名付けられました。(参考:北西太平洋に出現したタラ目メルルーサ科のシロガネダラ(新称) Merluccius productus(Ayres, 1855))
Merluccius australisは主にニュージーランドや南米に分布する魚で、メルルーサ科の中では最大級になるとも。本種はニュージーランドヘイクとも呼ばれており底引き網などで漁獲されたものが輸入されています。
このように深海域を通して分布域から遠く離れた海域で採集されることは非常に稀だそうです。実際、ヒタチダラとシロガネダラはこれ以降、国内での採集例がありません。
1
2