サカナをもっと好きになる

キーワードから探す

ニュース

灯台の下は旨い?「トウダイモトウマシ」始動 地域の水産資源と食文化の魅力を再発見【愛媛県】

愛媛県を拠点に海や周辺地域への興味関心を高める活動をする「トウダイモトウマシ探求コンソーシアム」は、今年7月から11月にかけて、同県内の佐田岬灯台(伊方町)と大崎鼻灯台(西予市)の2カ所で体験型ツーリズムイベントを試験的に実施しました。

イベントのテーマは「灯台と地域の水産資源を結ぶ」。同団体は今後、「トウダイモトウマシ(=灯台下旨し)」をキーワードに、灯台を起点に地域の水産資源や食文化の魅力を発見するプロジェクトを進めるといいます。

トウダイモトウマシ(提供:ソーシャルアクションネットワーク)

灯台の新たな価値を探る──「トウダイモトウマシ」という概念

このプロジェクトでは、「灯台の足元こそが地域の海の恵みである=“旨い魚”であふれている」ことを新たな観光や食体験の切り口として捉え直し、地域資源の再発見と発信を目指しているといいます。

海上交通の安全を守る「航路標識」としての役割を果たす灯台は、潮流が速く、地形が複雑な場所に立つことから、多くが豊かな漁場に隣接する場所にあります。その地理的特性に着目し、食の視点から灯台の新たな価値を探るプロジェクトです。

「灯台下暗し」ならぬ「灯台下旨し(トウダイモトウマシ)」という言葉には、灯台の足元には、まだ知られていない豊かな恵みがあるという意味が込められているそうです。

また、灯台を“食や体験、地域資源の交差点”としてとらえ、灯台から海を味わう旅を提案していくといいます。

愛媛県で行われた体験型ツーリズムイベント

今年7月から11月にかけて、愛媛県内の佐田岬灯台(伊方町)と大崎鼻灯台(西予市)の2カ所で、灯台と地域の水産資源を体験型ツーリズムイベントが試験的に実施されました。

クルージングで水産資源の魅力を発見

佐田岬灯台では「トウダイモトウマシ探求ツアー クルージング編」を実施。

佐田岬半島ミュージアム主任学芸員である髙嶋賢二さんがガイドを務め、この地域に根付く漁士(あまし)という伝統的な漁法や、磯の複雑な地形や潮流に恵まれた漁場について解説しながらクルージングを行いました。

トウダイモトウマシ探求ツアー クルージング編(提供:ソーシャルアクションネットワーク)

ツアーの最後には、この海域で育つイセエビやアカウニ、アワビを使った料理が提供され、参加者からは「灯台周辺の豊かな水産資源や地元の伝統漁法についての新発見につながった」といった感想を得られたそうです。

おもてなしを巡るマラソン+ピクニック体験

大崎鼻灯台では「マラニック」(マラソン+ピクニック)形式のラン&食体験ツアーが実施されました。

大崎鼻灯台(提供:PhotoAC)

西予市にある観光交流拠点施設「あけはまーれ」を出発し、往復25キロのコースに合計6カ所のポイントが設置され、タイムを目指すのではなくおもてなしや景色を楽しみながらゴールを目指す内容。各ポイントでは、地元の柑橘やサツマイモのほか、しらす丼やハモの天ぷら、地域で獲れた魚や海産物が並びました。

そして、ゴール後には大崎鼻灯台周辺や周辺の宇和海で漁獲された水産資源を使用した特製の「灯台バラチラシ寿司」で地域の豊かさを味わうなど、参加ランナーは地元食材の工夫に富んだ味わいを楽しんだといいます。

灯台を起点に新たな観光モデルを提案

同イベントを主催した「トウダイモトウマシ探求コンソーシアム」によると、モニターツアーを通して、灯台周辺の海域の特徴と共に、この海域が優れた漁場であることを改めて認識できたといい、「灯台を起点に地域の食文化を発信できる新たな観光モデルを提示できた」と感じているそうです。

今後は、地元飲食店や漁業者、地域団体などと協力してモニタツアーを運営することで、地域資源の再発見やブランド化といった新たな展開も期待されています。

詳しくは、「海と灯台プロジェクト」公式ホームページに掲載されています。

※2025年11月27日時点の情報です

(サカナト編集部)

  • この記事の執筆者
  • 執筆者の新着記事
サカナト編集部

サカナト編集部

サカナに特化したメディア

サカナに特化したメディア『サカナト』。本とWebで同時創刊。魚をはじめとした水生生物の多様な魅力を発信していきます。

  1. 灯台の下は旨い?「トウダイモトウマシ」始動 地域の水産資源と食文化の魅力を再発見【愛媛県】

  2. 沖縄県の福をもたらす魚 国頭村宜名真で重宝される<フーヌイユ>とは?

  3. 世界初!環境DNAのデータを分布で表示「eDNAmap」公開 海洋生物の分布がワンクリックでわかる? 

関連記事

PAGE TOP