沖縄本島などから得られた標本に基づき、ベラ科のコウハクカザリアカボウが新種記載されました。
カザリアカボウ属はこれまで4種のみが知られる珍しいグループの魚で、日本ではカザリアカボウのみが知られていたようです。本種は日本産カザリアカボウ属の2種目となるほか、カザリアカボウ属における約50年ぶりの新種となりました。
コウハクカザリアカボウの新種記載は「Journal of Fish Biology」に掲載されています(論文タイトル:Decodon erythroleukos, a new deepwater species of hypsigenyin wrasse (Teleostei: Labridae) from the western Pacific Ocean)。
沖縄から深場ベラの新種
ベラ科のカザリアカボウ属 Decodon はこれまでに4種が知れており、日本にはカザリアカボウ Decodon pacificus の1種のみが生息すると考えられてきたようです。
しかし、2022年に沖縄本島で得られた標本について研究グループが調査したところ、カザリアカボウと異なる種であることが判明します。
沖縄本島(提供:PhotoAC)なんと、標本はカザリアカボウに酷似していたものの、眼の前方にある黄色帯の向きがカザリアカボウでは横向きであることに対し、縦向きだったのです。その後、形態的特徴の精査やDNA解析が行われ、本標本が未記載種であることが明らかになりました。
本種は沖縄本島だけでなく、オーストラリアとニューカレドニアにも分布していることが明らかになっています。
紅白の尾びれに由来して命名
未記載種とされた標本は、明瞭な赤と白の尾びれを持つことが特徴であり、論文でコウハクカザリアカボウ Decodon erythroleukos と命名されています。本種は日本産カザリアカボウ属の2種目となるほか、本属における約50年ぶりの新種となりました。
コウハクカザリアカボウとカザリアカボウの違いは眼の前にある黄色帯の向きに加え、コウハクカザリアカボウでは尾びれ後縁の赤色域が広いこと(カザリアカボウでは狭い)で区別することが可能です。
さらに、研究では情報が不足していたカザリアカボウについても表徴の再検討を実施。これまで知られていなかった幼魚の色彩が示されています。
追加標本にも期待
現在、コウハクカザリアカボウは沖縄本島、オーストラリア、ニューカレドニアの水深110~350メートルから標本が採集されています。このほかにも、インドネシアと高知で本種と思われる水中写真が得られているとのこと。
水深110~350メートルであれば漁業や遊漁でコウハクカザリアカボウが採集される可能性が考えられます。今後、新産地で追加標本が得られるかもしれませんね。
(サカナト編集部)