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日本初! 約8000万年前の地層から新属を含む新種の<介形虫化石>が見つかる【北海道むかわ町】

熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センターの田中源吾准教授らから成る研究グループは、むかわ町穂別地区に分布する中生代の地層から産出した化石を調査し、1新属を含む6種もの新種介形虫化石を発見しました。

ししゃもで有名な北海道むかわ町ですが、“化石の町”としても知られており、これまで様々な化石が産出。今回、見つかった介形虫とは甲殻類に属する非常に小さな節足動物です。

この研究成果は「Geological Journal」に掲載されています(論文タイトル:Late Cretaceous (Campanian) shallow-marine ostracods from northeastern margin of Asia—palaeoenvironment and biogeographical significance)。

化石の町「むかわ」

化石の町として知られている北海道むかわ町

むかわ町穂別地区で、これまで様々な化石が産出しており、貴重なものも少なくありません。

中でもホベツアラキリュウは穂別博物館建設のきっかけでもあり、町のシンボルとして親しまれています。

穂別博物館(提供:PhotoAC)

今回、穂別地区から発見された化石は1新属を含む6種の新種介形虫(かいけいちゅう)化石。ホベツアラキリュウと比較すると小さいですが、とても学術的価値の高いものです。

北海道の介形虫

介形虫はカニやエビと同様に甲殻類に属する節足動物。体長は1ミリ未満と非常に小さく、左右に2枚の殻をもつことが特徴です。

石灰質の殻が化石として残りやすいことから、各地から化石が報告されてきました。

北海道においては、滝川市の深川層群滝川層(約500万年前)から得られた新属新種を含む複数の介形虫が、2025年11月に出版された論文で報告されています。

穂別に因んで命名

研究グループにより発見された1新属を含む6種の新種介形虫は、中生代後期白亜紀カンパニアン期中期(約8,000万年前)の地層から見つかりました。

このうち、新属新種の介形虫は Hobetsucythereis ohtatsumei と命名されています。属名は同じ科で近縁なシセレイスに”穂別”をくっつけたもので、種小名は穂別地域の資質調査を精密に行った故・大立目謙一郎教授に由来しているそうです。

Hobetsucythereis ohtatsumei(提供:国立大学法人熊本大学)

6種の新種介形虫化石発見は日本の中生代の介形虫としては初めての新種発見となったほか、世界的に見ても西太平洋地域における初の報告となりました。

新種から当時の海の様子が明らかに

得られた化石を詳しく調べた結果では、当時の環境も明らかになりました。

Hobetsucythereis ohtatsumei の眼の相対直径からは、生息していた区域の当時の水深が150 ± 20 mであると推定されています。

さらに、本種から得られた海底における垂直光の減数係数(海底に届く光の強さの減り方)からは、当時の海が栄養豊富で生き物が多く生息していた可能性が示唆されました。

独自の生物地理区

今回の研究により穂別地区の中生代の地層から産出した介形虫から1新属を含む6種もの新種が見出されました。

さらには、新種・新種の発見により当時の海の様子も推測されています。

また、世界のカンパニアン期における介形虫の地理的区分は5つに分けられるとされ、西部太平洋は独自の生物地理区を形成するようです。

生物地理学的地域を理解するためにも今後、古知地理や古気候学的データとともに、さらに深く考察するがあるとしています。

(サカナト編集部)

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