琉球大学理工学研究科の研究チームは、微小スケールを対象にした生物調査の手法を開発しました。
新たに開発されたこの手法によって、一見すると生物が少ないような場所にも多様な底生生物が生息していることが確認されています。
この研究の成果は「Marine Biodiversity」に掲載されています(論文タイトル:Does land reclamation affect small-scale benthic communities? Micro-quadrats on coral reefs around Okinawa Island, southern Japan)。
沖縄沿岸のサンゴ礁
沖縄島は豊かなサンゴ礁を有しており、そこには多種多様な生物が暮らしています。
沖縄島沿岸のサンゴ礁(提供:PhotoAC)その一方で、沖縄の沿岸域は長年にわたる開発や埋め立てがおこなわれてきました。これらが環境へ及ぼす影響を評価するには、その場所にどんな種類の生物がどのくらい生息するのか把握することが重要です。
代表的な手法として、コドラート法とトランセクト法が知られています。
コンドラート法は四角形の枠を調査地に設置して枠内の生物をカウントする手法、トランセクト法は調査地にラインを引きそれに沿って現れる生物をカウントする手法です。
サンゴ礁における底生生物調査
サンゴ礁の研究においては魚や大型の造礁サンゴを対象として調査が多くおこなわれてきました。
底生生物調査でも、10メートルのラインを引いたトランセクト法や、3メートル四方の枠を使ったコンドラート法など、比較的広い範囲にいる大きな生物を対象とする手法が主流だったといいます。
しかし、この手法では数センチ、数ミリの生物を十分に評価されていないといった問題があったのです。
新手法「マイクロコドラート法」
今回の研究では、従来、一括にされがちだった砂・岩・死サンゴを対象に、5センチ四方の微小スケールで底生生物の記録・比較を可能にした手法「マイクロコドラート法」が開発されています。
研究チームは従来のトランセクト法に加え、この新たな手法を使い沖縄島沿岸域の複数地点を対象に底生生物群集の調査をおこないました。
小型生物群集を多く検出
調査の結果、埋め立て地周辺の海域では、トランセクト法でソフトコーラルによる被覆が比較的多く認められた一方、マイクロコドラート法では砂による被覆が多い傾向が認められています。
また、自然海岸と護岸海岸では無節サンゴモ類に加え、ホヤ類など従来の調査では詳細な評価が難しかった小型の生物群が多く確認されたようです。
これらの結果は、調査方法やスケールによって異なる結果が得られる可能性や、沿岸の埋め立てが微小スケールにおける底生生物群集に与える影響を明らかにできる可能性を示しています。
埋め立てが小型底生生物に及ぼす影響
今回の研究によって、従来は生物が少ないとされていた環境にも、多様な小型底生生物が暮らしていることが明らかになりました。
また、埋め立て地においては他の海域と異なる底生生物群集を検出しており、埋め立てがサンゴ礁に暮らす小さな底生生物にも影響を与えている可能性が示されています。
(サカナト編集部)