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泳ぎ方も枯れ葉っぽいブチススキベラ

ブチススキベラの稚魚(撮影:椎名まさと)

ブチススキベラ(学名Anampses caeruleopunctatus)もベラ科ススキベラ属の魚です。幼魚は枯れ葉にそっくりであるだけでなく、泳ぎ方も枯れ葉が流れにのって漂うような独特な泳ぎ方をしていますが、これも身を守るための工夫といえます(ただし網を構えると逃げるように素早く泳ぐ)。

4センチくらいになると体側に青白い斑点が出るようになり、雌相は体に青白い斑点が散らばり、雄相に性転換すると青と緑の色彩になりブダイ科の魚にも似ています。

ブチススキベラの稚魚(撮影:椎名まさと)

ススキベラ属の魚も観賞魚店で販売されていますが、神経質で飼育が難しいため、あまり初心者向けの海水魚とはいえません。

またブチススキベラの成魚は30センチにもなるため、小型水槽での飼育は困難といえます。幼魚は黒潮にのり、夏の終わりから10月下旬にかけて関東近辺の磯でも見られることがあります。成魚は食用魚で美味です。

海面直下を漂うマツダイ

港で掬ったマツダイ(撮影:椎名まさと)

マツダイ(学名Lobotes surinamensis)はスズキ目マツダイ科マツダイ属の魚です。太平洋(東太平洋は除く)、大西洋、インド洋に広く分布し、日本でもほとんど各地に見られます。

成魚全長60センチをこえる大型魚で、全身が黒い体、さらに背鰭と臀鰭、尾鰭が大きく、本種をしらない人は度々シーラカンスと間違えることがあるといいます。食味については白身で美味しいとされていますが、筆者はまだ食べたことがありません。

ある程度大きくなったマツダイ(撮影:椎名まさと)

そんなマツダイも幼魚のうちは海面を漂う枯葉に擬態しています。全身が茶色または黄色で、枯れ葉と一緒に海面直下を漂っています。

簡単に掬えそうに見えますが、網を入れると逃げてしまいます。

黒や茶色で擬態するコショウダイ

コショウダイの若魚(20cmほど)(撮影:椎名まさと)

コショウダイ(学名Plectorhinchus cinctus)はスズキ目イサキ科コショウダイ属の魚です。成魚は全長50センチ近くになる動物食性の魚ですが、幼魚は全身真っ黒でやはり枯れ葉に擬態しているようです。

コショウダイの幼魚(撮影:椎名まさと)

ただし、筆者が採集した際には数分すると全身が茶色になりました。幼魚は海水浴場の波打ち際にも姿を現し、簡単に掬うことができますが、成魚は大型になるため安易に飼育するのは避けなければなりません。

コショウダイ属の幼魚はふたつのグループに分けられます。

ひとつは幼魚の体高が高く、枯れ葉に擬態するグループで、もう一つは体高が低い(ものが多く)、クネクネ泳ぎをするグループです。前者にはコショウダイやクロコショウダイが含まれ、後者はコロダイ(コロダイ属とされることもある)やヒレグロコショウダイなどが含まれます。

いずれも幼魚はかわいいですが、大きく育つので飼育には覚悟が必要です。なおコショウダイ属のすべての種が産地では食用になり、本種も例外ではありません。コショウダイ属の魚は基本的に熱帯性の魚ですが、このコショウダイは温帯によく適応した魚で青森県から九州、屋久島、小笠原諸島に分布します。

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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