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1匹300万円する魚? 美しい色彩・ボロサクラダイの味はいかに

ボロサクラダイは南日本太平洋岸から西太平洋、インド洋の深場にすむハナダイの仲間です。

大型種であり、よく伸びた背鰭第3棘状、糸状に伸びた背鰭の軟条が特徴的です。全長28cmにもなる大型種ですが、食べることはできるのでしょうか?

ボロサクラダイとは

ボロサクラダイ(提供:椎名まさと)

ボロサクラダイ(学名Odontanthias rhodopeplus)はスズキ目・ハタ科・ハナダイ亜科(またはハナダイ科) ・イッテンサクラダイ科の魚です。

本種の特徴は背鰭第3棘が長く伸びること、背鰭軟条部の鰭条が長く伸びること、尾鰭基底に黒い横帯があることなどでほかのハナダイ亜科の魚と見分けることができます。

本種は相模湾~九州、沖縄島、台湾、西太平洋の深場に生息。インド洋にもいるとされますが、ベンガル湾で採集されているものは別種と思われます。

ボロサクラダイは美しいが観賞魚には向かない

観賞魚として飼育されるキンギョハナダイ(撮影:椎名まさと)

ハナダイ亜科の魚は美しい魚をしており、多くの種類が観賞魚として人気があります。

しかし、ボロサクラダイは美しい色彩をしていますが、観賞魚としての流通はほぼありません。なぜならばボロサクラダイは深海性の種であるため(水深200~300m前後に生息)、陸上に上げることが難しく、状態よく陸上にあげても、生息地の暗い環境と低い水温を再現するのはなかなか難しいことなのです。

ボロサクラダイは熱帯域にも生息していますが、深海の水温は低く、10数℃の低水温でなければ飼育することはできません。しかし、技術の進歩の結果、日本の水族館では沖縄美ら海水族館で飼育されている姿を見ることができます。

ホームアクアリウムの世界ではながらくその姿を拝めることはできませんでしたが、最近になって1匹がアメリカの海水魚専門店で販売されました。

しかし、その値段は1匹で20,000ドル(3,123,300円※)とのことで、一般のアクアリストでは手が出ない価格です($20,000 Odontanthias rhodopeplus is a Super-Rare Treat from the Twilight Zone-Reef Builders)。

※邦貨換算は日本時間2024年5月14日午前1時のレート。

ボロサクラダイを食べる

ボロサクラダイの刺身(撮影:椎名まさと)

さて、このボロサクラダイですが食用になります。

同じハナダイ亜科の中にはアカイサキが含まれていますが、アカイサキは刺身や焼き物などで非常に美味な魚として知られています。アカイサキほどではないものの、このボロサクラダイも全長28cmと大型になり、食用として適しています。

見た目鮮やかな熱帯魚的な魚ですが、さすがはハタ科、刺身は大型のハタ科に似た味でよく脂がのっており美味でした。派手な色彩で食味が湧かないという方も多いかもしれませんが、ハナダイの仲間は美味しいものが多く知られています。

船釣りのイサキ・アマダイ釣りなどではゲストとして釣れることがありますので、ぜひ食してみてください。

(サカナトライター:椎名まさと)

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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