6月と言えば「父の日」ですね。魚のなかには、オスが献身的な子育てをする種が存在します。
この記事では、卵を守るオスの魚の愛と献身をテーマに、魚による子育てについて紹介します。
オスが子育てをする魚たち
魚はその9割が子育てをしないと言われています。卵を産むだけで子育てはなし。その代わりたくさんの卵を産みます。
残りの1割の魚は、産卵数はそれほど多くはないですが、卵の生存率を上げるために子育てをします。
そこで今回は違うタイプの子育てをする魚を2種類ご紹介します。
口内保育をするアゴアマダイの仲間
アゴアマダイ科の雄魚は卵を口の中で守る「口内保育」を行います。マウスブリーダーとも言います。
パートナーが産卵した受精卵を受け取って口に入れ、その後約10日間口の中で卵を保護するのです。その間何も食べず、絶えず新鮮な海水を卵に送ります。
時折口先に卵を出してくるくるとまわし、卵を清潔にして健康を保つ行動も見られます。これを「曝気(ばっき)」と呼びます。そして、孵化をした後に雄の役割は終わり、幼魚たちは雄から離れ旅立ちます。絶食をして卵を守り抜く雄はすごいですね。
アゴアマダイ科の魚ですとジョーフィッシュという魚がいます。
普段は砂に穴を掘ってその中に身を潜めていますが、口いっぱいの卵を守っている状態でひょこっと出した顔はとてもかわいいです。
卵を見守るスズメダイの仲間
子育てをする魚で最も多いのがスズメダイ科のような「卵を見守る」タイプです。
スズメダイ科はペアになった後、メスが卵を産み付けた後に雄が放精し、卵を受精させます。産卵が終わると、メスはその場から離れてしまいますが、オスは留まって卵が孵化するまで世話を続けます。
外敵から卵を守り、死んでしまった卵を取り除いたり、連日鰭を使って卵に新鮮な海水を送ります。この煽ぎ行動を「ファニング」と呼びます。
卵から長くは離れられないので、摂餌量は減りますが、ファニングなど継続して行い、卵を見守ります。とても献身的な魚なんですね。
ディズニー映画の『ファインディングニモ』でも、ニモとその父親であるマーリンが共に行動しますよね。スズメダイ科の特徴を知った上で見ると、またおもしろいかもしれません。
余談ですが、映画の中で、ニモはカクレクマノミと呼ばれていますが、実際には「クラウンアネモネフィッシュ」だそうで、同じくスズメダイ科の魚となっております。
違う子育てタイプの魚を2種類紹介しました。生き物の生存戦略は面白いですね。お父さん育ててくれてありがとう、と幼魚たちの代わりにこの場で伝えておきましょう。
(サカナトライター:keiko)