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ハタタテダイ属魚類とツノダシ

ツノダシ(撮影:椎名まさと)

ハタタテダイ属魚類、とくにハタタテダイとムレハタタテダイによく似たものとしてツノダシ Zanclus cornutus (Linnaeus, 1758)という魚がいます。一見よく似ており、見分けがつきにくいという方も多いのですが、尾鰭の色彩と、吻の形により容易に見分けられます。

まず、ツノダシの尾鰭は黒いのに対し、ハタタテダイの尾鰭は一様に黄色であることで見分けられます。吻はツノダシではオレンジ色の模様があるのに対し、ハタタテダイではそのような模様は見られません。分布は非常に広範囲に及び、南アフリカ東海岸から、ハタタテダイ属魚類のいないメキシコ西海岸に及び、日本でも太平洋岸を中心に広く分布しています。

ツノダシは1科1属1種のツノダシ科の魚で、ニザダイ科に近縁とされており、チョウチョウウオ科とは縁遠いものとされています。ただ、かつてはツノダシ科もニザダイ科もチョウチョウウオ科もチョウチョウウオ亜目の中に含められていた時代がありました。

ツノダシの英語名はMoorish idol(ムーア人の偶像)といいますが、ムレハタタテダイの、比「Fishbase」(世界中の魚類を網羅したデータベース)でのコモンネームは「False moorish idol」、つまり「偽のツノダシ」という意味になります。

観賞魚としてのハタタテダイ属

飼育されているオニハタタテダイ(撮影:椎名まさと)

ハタタテダイ属の魚は水族館で飼育されていることが多いです。これは熱帯魚らしい見た目をしており、また(チョウチョウウオ科としては)飼育もしやすい種が多いことから、サンゴ礁を模した水槽ではほぼ確実にみることができます。

ホームアクアリウムにおいてはそれなりに大きめの水槽が必要なこと、飼育しやすい、といってもチョウチョウウオ科の魚であり水質などに求められる要素が多いこと、サンゴ水槽が人気の昨今はサンゴを食することがあるチョウチョウウオ科は敬遠されるなど、以前ほどは飼育されなくなっています。しかしながら大型の魚混泳水槽で飼育しているアクアリストも多くいます。多くの種は飼育しやすいのですが、鰭をつつくような魚と一緒に飼育すると自慢の背鰭棘条は短くなってしまうので注意が必要です。

一方、ハタタテダイ属の魚によく似ているツノダシは水族館ではよく飼育されているものの、ホームアクアリウムでの飼育は難しい部類に入ります。非常に大きな水槽で複数飼育するのがよいようです。

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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