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水族館の人気者<ノコギリエイ>の謎が解明 実は国内で絶滅していた?

水族館で人気のあるノコギリエイですが、実は国内では既に絶滅していることが判明したそうです。

また、日本からは2種のノコギリエイ科魚類の記録があることも明らかになりました。

ノコギリエイとは

ノコギリエイはノコギリエイ目・ノコギリエイ科に属する大型魚。全長は470センチ程にもなるとか。

ノコギリエイ科は本種を含む複数種が知られているもののいずれも絶滅の危機に瀕しており、本科すべての種がワシントン条約の付随書Iに加えられています。

ノコギリエイに似たノコギリザメ(提供:PhotoAC)

ノコギリエイはノコギリザメと形態的に似ているものの、ノコギリザメは体長1メートル超にしかならないことや、ノコギリザメは髭を有すること、鰓孔が側面に開口(ノコギリエイは下面に開口)することで区別することが可能です。

日本のノコギリエイ科は2種類?

従来、日本のノコギリエイ科の魚はノコギリエイ Pristis pristisPristis microdon は本種と同種)が知られており、八重山諸島からの記録がありました。

しかし、今回の研究により、1928年の東京で東シナ海産の Anoxypristis cuspidat が記録されていることから、日本では2種のノコギリエイ科の記録があることが判明したそうです。

ノコギリエイ科の魚(提供:PhotoAC)

また、ノコギリエイの標準和名は Anoxypristis cuspidat に適応するのが正しいとされ、Pristis pristis には新たに標準和名「オオノコギリエイ」を提唱。名前の通り、オオノコギリエイはノコギリエイよりも大型になるそうです。

国内のノコギリエイは既に絶滅していた?

国内に2種いることが判明したノコギリエイ科ですが、少なくともノコギリエイ Anoxypristis cuspidat は国内において絶滅していたことも、この調査・研究で明らかになりました。

環境省レッドリストのカテゴリー判定基準において絶滅と判定する定性的要件のひとつとして「過去50年間前後の間に、信頼できる生息の情報が得られていない」が挙げられており、ノコギリエイ Anoxypristis cuspidat は50年以上、正確な記録がないことから国内絶滅していたことが明らかに。

なお、日本で国内絶滅が証明された実例は海産魚類で初めてだそうです。

ノコギリエイのように長年、記録のない生物は少なくありません。そういった種が人知れず絶滅していることを我々は実感しなければならないでしょう。

(サカナト編集部)

参考文献

ノコギリエイは国内において絶滅していたことを解明-琉球大学

板鰓類研究会報第33号

環境省レッドリストカテゴリーと判定基準(2020)-環境省

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サカナト編集部

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