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<水族館飼育員が他の水族館で気になること3選>いつもの水族館を新たな視点で楽しもう!

日々水族館で働く水族館スタッフたち。水生生物が大好きな彼・彼女らは、職場以外の水族館にもよく足を運びます。他のお客様と同様にキャッキャと楽しみますが、どうしても仕事目線で水族館を見てしまうことがあります。

彼・彼女らはどういう視点で水族館を見ているのでしょうか。今回は同じように水族館で働いていた筆者の視点も取り入れながら、水族館飼育員が水族館に行くとつい見てしまう点をご紹介します。

水族館飼育員の視点①「生き物の健康状態」

水族館飼育員がまず気になるのは「飼育されている生き物の健康状態」です。これは、どの飼育員にも共通するのではないでしょうか。また、飼育員に限らず、自宅でアクアリウムをやっている方も同様に健康状態を観察する癖がついている人が多いと思います。

水族館の水槽(提供:PhotoAC)

特に舌を巻くのが、水槽が狭かったり設備が古かったりするにも関わらず、非常に状態良く生き物を飼育している水族館です。「自分が同じ状況下で飼育したら絶対に生き物たちを弱らせてしまう自信がある……」という悔しい想いと、「是非ここの飼育員さんに技術を教わりたい……!」という尊敬の想いが込み上げてきます。

筆者が素晴らしい飼育技術を持っていると感じた水族館は東海大学海洋科学博物館です。現在は予約制ですが、興味を持たれた方は是非とも足を運んでみてください。ピッチピチのおサカナたちがあなたを待っています。

水族館飼育員の視点②「展示のレイアウト、パネルの内容」

展示レイアウトや展示パネルの内容、デザインを見てしまうのは、水族館飼育員ならではのことだと思います。趣味のアクアリウムと違い、水族館の展示レイアウトはその展示のコンセプトやテーマで大きく変わってきます。

例えば、自然をテーマにして「〇〇川」というテーマで展示する場合、その〇〇川に生息している生き物を展示するのはもちろん、水草や岩、水中で見た時のその水景まで合わせようとする水族館さんも多く存在します(ランドスケープと言います)。

瀬戸内海近辺や東北の水族館では、カキやホタテの養殖ロープを吊るして展示する、地域の特徴が色濃く出た水槽展示も存在します。このように、上手く展示テーマと中のレイアウトが合っている水槽展示があると、とても感心します

サンゴ礁の水槽(提供:PhotoAC)

また展示パネルも、水族館によってデザインや内容が異なります。水族館の雰囲気に合わせてパネルをLEDライト等でおしゃれに照らしている水族館もあれば、飼育員さんの心がこもった手書きパネルを展示する水族館もあります。

内容も様々で、その生き物や環境を詳しく伝えるパネルはもちろん、手書きパネルでは飼育員さんの経験談や飼育員目線でのお話が記載されているものが多い印象です。

筆者はそれぞれの水族館飼育員さんの想いや経験談が書かれている手書きパネルをよく読んでおり、またそのパネルのデザインやイラスト、パネルを設置する位置なども参考にしていました。

水族館飼育員の視点③「お客さんの反応」

水槽と女の子(提供:PhotoAC)

②までは水族館飼育員視点での水族館展示の見方ですが、それらの展示がお客さんにはどの程度ウケているのか?伝わっているのか?という点も気になります。

いくら飼育員が「この展示はおもしろい!」と思っても、それがお客さんに見られていないなら意味がありません。「展示を見たお客さんの反応はどうか?ウケているのか?何より伝わっているのか?」ここはかなり重点的に観察しています。

しかし、お客さんをまじまじと見つめるわけにもいきません。私はよく水槽の方に目線を向け、あたかも水槽を見ているような雰囲気を醸し出しながら、実際は隣にいるお客さんの会話や反応などに聞き耳を立てていました

また、展示パネルをどのくらい読んでいるか、パネル前の滞在時間はどのくらいだったかを計測したこともあります。読み流している場合と、じっくり読んでいる場合では滞在時間が全く異なります。

細かいかもしれませんが、そうした視点を持つことで自らの職場(水族館)で活かせることが多々あるのです。

水族館飼育員は他の水族館から学ぶ

日本には約120館もの水族館があります。ということはそれだけ多くの展示や工夫、生き物たちがおり、それらの数だけ学べるものがあるのです。

今日も水族館飼育員たちはリフレッシュのため……という体で、学びのために水族館を訪れるのです。普段何気なく訪れる水族館にも、ひっそりと他の水族館の飼育員が潜んでいるかもしれませんよ。

(サカナトライター:みのり)

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みのり

みのり

センス・オブ・ワンダーを大切に

北里大学海洋生命科学部卒・元水族館飼育員。魚類・クラゲはもちろん、イルカの飼育も担当。非常に多趣味で、生き物観察やフィールドワークはもちろん、映画や読書、ゲームも好き。多趣味ゆえの独自の視点、飼育員視点を交えつつ、水生生物やそれを取り巻く自然環境、文化、水族館の魅力を発信していきます。

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