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海を回遊する魚類最大の種<ジンベエザメ> 減少傾向にある原因は人間?

ジンベイザメは絶滅危惧種に認定されていますが、その原因は人間による影響が大きいとされています。

実際にプラスチックゴミなどは海洋生物に大きな影響を与えており、水族館の中にはそれらの危険性について紹介している施設もあります。

では、ジンベエザメが瀕している危機とは、一体どのようなものなのでしょうか。

ジンベエザメは絶滅危惧種に認定されている

日本におけるジンベエザメの飼育は、世界的に見ても優れているとされています。また、国内随一の水族館である沖縄美ら海水族館で世界最長飼育記録を有するなど、ジンベエザメは日本人にとって身近な存在となりつつある生きものと言えるかもしれません。

しかし自然の海ではジンベエザメの数は減少し、絶滅危惧種に認定されました。これは、人間による海洋汚染や密漁者による被害が大きいと言われています。

ジンベエザメの繁殖にはまだ不明な点が多く、数を増やしていくにはどのような手立てが有効かも未だわかっていません。

ジンベエザメは一度に300匹の子どもを産むとされていますが、子どもを育てるという習性はないそう。そうした習性による生存率の低さもあって、数の減少に拍車をかけています。

ヒレを狙った密漁者によるジンベエザメの捕獲

ジンベエザメ(提供:PhotoAC)

ジンベエザメは世界最大のサメということもあり、その世界最大のヒレは「天頂翅(てんちょうし)」とも呼ばれ、過去には“最高級のフカヒレ”として取引がされていたようです。

しかし現在では、ワシントン条約により保護されており、漁獲は禁止されているため、食べるどころか取引すらできません。

ですが、アジア各国で珍味としても重宝されていることから、皮肉にも漁獲が禁止されたことでより希少価値が上がってしまい、高値での取引を目的とした密漁は現在でも絶えません。

プラスチックゴミなどによる海洋汚染

ジンベエザメは、大きな口を広げて多くの海水とともにプランクトンを取り込みます。そして、口の中にある鰓耙(さいは)というフィルターでエサのみを取り分け、海水はエラから排出するのです。

そのため、海水と一緒にプラスチックゴミも一緒に吸い込んで食べてしまう可能性があると指摘されています。実際に、ジンベエザメの体内からプラスチックゴミが発見された事例もあり、海洋汚染は特に問題視されています。

海水を吸い込むジンベエザメ(提供:PhotoAC)

ジンベエザメと大型船の衝突事故

ジンベエザメの生活県内は海面に近いことから、大型船と衝突する可能性が高いとされています。

大型船と衝突することが一般にあまり知られていない背景には、報道が少ないこと、ジンベエザメは死んでしまうと海の底に沈んでしまうため、証拠が残りづらいことなどが原因です。

そのため、大型船との衝突がジンベエザメの減少に対して、どの程度の影響を与えているかについては、詳しくは分かっていません。

米国科学アカデミー紀要の報告によると、2005年から2019年の期間で、300頭のジンベエザメと船舶の動きを分析したところ、紅海とアラビア海ではジンベエザメの移動範囲はが船舶航路とほぼ完全に重なっているなど、ジンベエザメは船舶の航路を泳いでいることがとても多いことがわかったそう。

また、ジンベエザメに取り付けた追跡タグが、船が多く運航する海域で海底へ沈没し、再度浮上した動きをしていることも確認されました。これは、対象となったジンベエザメの死亡を示していると考えられます。

水族館が教えてくれる<私たちが海の生きものに与える影響>

地球規模で海洋環境が問題となっており、特にプラスチックゴミが海洋生物に与える影響はとても大きいです。

日本では、ジンベエザメが亡くなったあとに解剖をしたところ、胃の中にプラスチックのくしが発見され、胃の損傷による出血などが死亡原因と判明した事例もあります。

それらの影響を伝えるため、水族館では海で発見されたプラスチックゴミを展示するなど、海洋生物が置かれている状況を伝えることで、私たちの行動が海洋生物を守ることに繋がると訴えている施設もあります。

遠く離れた海にすんでいるように感じるジンベエザメですが、私たちの与える影響は大きく、現に数多くの命を脅かしています。

生きものについて学び、私たちの生活を今一度改めるべきなのではないでしょうか。

(サカナトライター:nasu阿部)

参考文献

Global collision-risk hotspots of marine traffic and the world’s largest fish, the whale shark-PNAS

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nasu阿部

趣味で日本国内の旅行に行くことが好きです。 旅行の先々で水族館に行くことで徐々に海の世界に対して魅力を感じるようになりました。 日本の水族館には、そこにしかにない魅力に溢れていて生き物の魅力を最大限に見せてくれます。 そこで得た魅力を伝えることでこの思いが受け継がれえることで海の生き物が生きやすい環境を守れればと考えております。

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