高知県土佐清水市の天然記念物に指定されているトサシミズサンショウウオ。
初めて写真で見たとき、なんてずんぐりむっくりしたサンショウウオなのだろうと笑顔になったのを覚えています。
2025年は3回も高知を旅することができ、3回目の訪問で念願のトサシミズサンショウウオに会うことができました。
トサシミズサンショウウオとは?
トサシミズサンショウウオ(学名:Hynobius tosashimizuensis)はその名のとおり、高知県土佐清水市で発見された小型サンショウウオ。体長は12センチ程度で、背面に黒い斑点はなく、腹面に白い斑点があるのが特徴の止水性サンショウウオです。
止水性サンショウウオとは、池などの水の流れがほとんどない場所で産卵するサンショウウオのことを指します。
トサシミズサンショウウオが発見されたのは、1972年に地元の小学生が、珍しい卵塊(卵が集まったもの)を見つけたことがきっかけ。
発見以来、ずっとオオイタサンショウウオの地域性の変異種だと考えられていましたが、2018年にミトコンドリアDNA解析によって完全に別種だと判明し、この名が付けられました。
地元の小学生の気づきが、その46年後に科学の発展によって重要な発見につながったのです。
トサシミズサンショウウオに会いたかった理由
2025年4月、高知県をツーリングで訪れた際、無料の動物園の中に両生類の展示もあると知りました。それが、高知市が管理運営している「和の森わんぱーくこうちアニマルランド(アニマルランド)」です。
その時は訪問することができませんでしたが、無料で天然記念物のトサシミズサンショウウオが観察できるとは貴重な体験。ぜひ次の機会に会ってみたいと考えました。
8月には、改めて高知県と愛媛県を回るツーリングに出かけることができ、アニマルランドにも行くことができました。
主が見つからないコケ山……(撮影:額田善之/撮影場所:アニマルランド)しかし、暗くてジメジメした場所が大好きなトサシミズサンショウウオは“コケ山”に隠れて出てこず……時間もあまりなかったので泣く泣く諦めました。
トサシミズサンショウウオの説明文(撮影:額田善之/撮影場所:アニマルランド)せっかく訪れたのに見ることができず、どうしても会いたいという気持ちでいっぱいになったのでした。
念願のトサシミズサンショウウオを観察
2025年11月、家族旅行で再度高知県を訪れることになった筆者。チャンスをものにすることができました。
ついに会えたトサシミズサンショウウオ(撮影:額田善之/撮影場所:アニマルランド)真正面の顔は見られませんでしたが、ずんぐりむっくりした特徴的な姿を見られました。すぐに子どもを呼んで来て一緒に堪能しましたが、30分後にはコケ山の中へ入ってしまいました。
暗く湿度が高い場所が好きだということを、展示からも感じとることができました。
高知県立足摺海洋館 SATOUMIでも発見
翌日は土佐清水市にある高知県立足摺海洋館 SATOUMIに行きました。
すると、ここにもトサシミズサンショウウオが数匹展示されていました。
トサシミズサンショウウオ(撮影:額田善之/撮影場所:足摺海洋館)こちらはアニマルランドの個体よりも少し活発な様子。嬉しくて写真を撮りましたが、暗い場所で動き回るので、うまく撮れず、なかなかピントが合いませんでした。
たくさんのトサシミズサンショウウオ(撮影:額田善之/撮影場所:足摺海洋館)またいつかリベンジして、綺麗に写真に収めようと心に誓う両生類好きの筆者でした。
推しサンショウウオ鑑賞のススメ
日本にはサンショウウオの種類がたくさん生息しています。その中でも今年、トサシミズサンショウウオに出会えたことには、何かの縁を感じます。
約半年の間、トサシミズサンショウウオを追い続けましたが、実際に出会えると達成感があります。
皆さんもぜひお気に入りのサンショウウオを探してみませんか。もちろん、もし高知を訪れることがあればトサシミズサンショウウオを観察してみてください。
(サカナトライター:額田善之)