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身近な問いの答えは「海」にあり? <海を入り口に世界を広げてくれる本>4選

海は、広く、深く、さまざまな表情を持っています。

どこから、どんな立場で覗くかによって、まったく違う世界を見せてくれます。

海を通して身近な問いを見つめ直すと、自然や歴史、人の営み──少し大袈裟かもしれませんが、世界の見え方が少し変わるかもしれません。

“海を入り口に世界を広げてくれる本”を4冊紹介します。

地球規模の問いについて改めて考える『深海問答』

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)で20年以上も深海調査に携わってきた川口慎介さんによる深海問答』(川口慎介[2024]、エクスナレッジ)

『深海問答』(画像提供:SAKANA BOOKS)

約130の問答を収めた本書は、「海とは何か?」という根源的な問いから始まり、生命の起源、深海の謎、気候変動など、地球規模の問いに切り込んでいきます。

「大人が読む」ということを前提に、ときにユーモアを交えながら海の秘密を深く、深く探っていく本著。身近なようで未だわからないことが多い「海」について考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

世代をこえて楽しめる<進化の道>案内『ゆびでたどる進化のえほん』

ゆびでたどる進化のえほん』(監修・文/三上智之 絵/かわさきしゅんいち(2025)、KADOKAWA)は、地球に生命が誕生してから現在に至るまでの進化の軌跡をたどることができる、子どもから大人まで楽しめる学習絵本です。

『ゆびでたどる進化のえほん』(画像提供:SAKANA BOOKS)

地球上の生きものは海でうまれ、進化を続け──現在私たちのよく知る地球になりました。

そんな生物の進化系統樹を迷路のような「道」に見立て、指でなぞりながらたどることで、進化の過程を直観的に学ぶことができます。

登場するのは、古生物から現生種まで、190種以上の生きもの。古生物の姿は、化石記録や近縁種の形態、最新の研究成果をもとに推定されたものです。

監修・文を担当した三上智之さん(国立科学博物館 日本学術振興会特別研究員PD)と、絵を手がけるかわさきしゅんいちさんが協力し、そのビジュアルを完成させました。

水族館の裏側は笑いと発見の宝庫『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』

生きものをテーマにした漫画やイラストを手がけている、なんかの菌さんの新作水族館飼育員のただならぬ裏側案内』(なんかの菌[2025]、集英社インターナショナル)

なんかの菌さんは美術史を学んだのち、水族館に採用され、海水魚の飼育員を経て社会教育を担当したという経歴をもっています。その経験をもとに描いたのが本書です。

『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』(画像提供:SAKANA BOOKS)

小さな展示水槽に込められた工夫や給餌の仕込み、水槽の形状や掃除の仕方など、細かな「裏側」をバックヤードツアーのように紹介してくれます。

こうした現場の視点は、水族館が生きものや水の世界とどのように向き合ってきたのかをあらためて考えさせてくれます。一度でも水族館に足を運んだことがある人なら、展示の見え方が少し変わるのではないでしょうか。

そして、水族館を通して、海や川にすむ生きものたちに思いを馳せることができるのです。

シャチ×青春を描く漫画『大海に響くコール』

漫画大海に響くコール』(遊維[小学館])は、シャチをめぐる高校生たちの青春を描いた海洋青春グラフィティー。現在、小学館の月刊誌『ゲッサン』で連載中で、2025年には単行本第3巻が発売されました。

『大海に響くコール』(画像撮影:サカナト編集部)

主人公である高校2年生の中井かわずが、訪れた水族館で迫力満点のシャチ、そしてミステリアスな同級生・神崎葵と出会ったことをきっかけに始まる物語です。

登場人物たちの交流や成長はもちろん、ダイナミックな筆致で描かれたシャチにも注目。読んでいるといつの間にかシャチについて詳しくなり、気付けば「沼」にハマっています。

海を通して世界をのぞく

同じ海を扱っていても、立つ場所や距離が変われば、見えてくる世界はまったく違います。

深海の問いから、物語としての海、水族館という現場──そして、いのちが生まれた海。

今回紹介した4冊は、海を通して世界をのぞくための、異なる窓のような存在です。

気になる一冊から、少しずつのぞいてみてはいかがでしょうか。

(サカナト編集部)

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サカナト編集部

サカナト編集部

サカナに特化したメディア

サカナに特化したメディア『サカナト』。本とWebで同時創刊。魚をはじめとした水生生物の多様な魅力を発信していきます。

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