「深海のアイドル」とも呼ばれるメンダコ。その愛らしい見た目からファンが多いですが、展示難易度などの観点から水族館で展示されていることはめったにありません。
そんなメンダコの生態について、詳しく知る人は意外にも少ないのではないでしょうか?
この記事ではメンダコの意外と知られていない生態についてご紹介します。
メンダコは深海にすむタコの仲間
メンダコは深海にすむタコの仲間です。そのかわいらしい見た目から、たくさんの人に愛されている生き物でもあります。
水族館で展示されることは少ないですが、お土産としては大人気。お土産ショップにストラップやぬいぐるみがずらっと並んでいる姿に見覚えがある人も少なくないのではないでしょうか。
メンダコは頭足綱八腕形目メンダコ科に属する生き物で、れっきとしたタコの仲間です。裏側をみると馴染みのあるタコの吸盤を観察することもできます。
押しつぶされたような見た目と頭部の耳のような部分が特徴です。
独特な匂いで、網にかかったら即バレ!?
メンダコはキャラクター性の高いビジュアルに似合わぬ独特な匂いをしています。
その匂いは味のないガムやシンナーに近いと言われ、漁でメンダコが網にかかった場合は姿が見えなくてもすぐに存在がバレてしまうのだとか。
ちなみに逃がさずに食べることもできますが、とにかくしょっぱくてあまり美味しくはないことから、食用として積極的に捕獲されたり流通したりすることはないそうです。
チャームポイントである“耳”の正体はヒレ
メンダコは、なんといってもぴょこんと耳が生えたような姿が可愛いですよね。その耳のように見えるものの正体は、実はヒレなのです。
メンダコは普通のタコと違い、脚が膜で繋がっており、そのせいで脚を使って泳ぐことができません。
そのため、普段は水深200~1000mの海底でじっとしていて、有事の際に耳のヒレをプロペラのように回して泳ぎます。身体に比べ小さいヒレを駆使して器用に泳ぐ姿はとっても愛らしいですよ。
タコだけど、墨は吐けない
タコやイカが墨を吐くのは、外敵から身を守るための目くらましと考えられています。メンダコには通常のタコにある墨袋という器官がないため、墨を吐くことができません。
メンダコがすんでいるのは暗い深海です。そんな中で黒い墨を吐いても外敵を撃退できないから、墨袋は使わないよう独特な進化をしたのかもしれませんね。
メンダコは繊細 見かけても大事にしてあげよう
深海のアイドルとして大人気のメンダコですが、彼らはとても繊細な生き物です。全国の水族館が何度もメンダコの飼育に取り組んでいますが、1か月もたず亡くなっているケースがほとんど。
もし水族館で出会えたとしても、カメラ撮影は極力控え、そのままの姿を静かに見てあげることをオススメします。メンダコを堪能した帰りにグッズを買って、メンダコの飼育が上手く行くようお祈りするのもいいかもしれませんね。
(サカナトライター:桐田えこ)