エスカレーターの先にシロワニが!
順路通りに進んでいくと、次のフロアに進むことのできるエスカレーターが出現します。
水槽の中を通ることができるトンネル……このエスカレーターこそまさに水族館の醍醐味といってもよいのでしょう! この唯一無二な光景はぜひ、現地でご覧ください……。
「悠久の海ゾーン」の目玉といえばやはり、アクアワールド・大洗のシンボルマークともなっている大型のサメたちが姿を表します。
中でもやはり特筆すべきはシロワニです! やはりシロワニは何度見ても優雅で美しいですね……。
主に小笠原の海などでダイバーからも根強い人気のあるこのサメは、やはり水族館という場所にフィールドを移しても、多くの来館者から大人気のようです。
取材のため2日かけて館内を見て回ったのですが、シロワニの展示水槽はいつ行っても館内で一番活気のあふれる場所。水槽を見ながら座って休憩できるスペースには常に人がおり、カメラやスマートフォンを片手に記念撮影をして、シロワニの体の大きさに驚いていました。
アクアワールド・大洗では、2021年に国内で初めてシロワニの繁殖に成功しました。現在シロワニの展示水槽では、その繁殖個体と親個体を一緒に展示しています。
そして毎日10:30から開催されている「シャークウォッチング」では、シロワニや他の大型のサメたちへの給餌を飼育員の解説付きで見ることもできます!
アクアワールド・大洗では飼育員の皆さんがシロワニの個体をそれぞれ判別しながら飼育しており、どの個体がその日どのぐらいの餌を食べたかを正確に把握しています。
そのため飼育員さんは、シロワニの展示水槽の前とバックヤードの二手に分かれ、館内用PHSで連絡をとりながらタイミングよく狙った個体の口元に餌が落ちるよう調整し、最終的には食べなかった分の餌を回収するところまでしています。
飼育員さんによる徹底的な管理と細かな観察の成果こそが、このアクアワールド・大洗のシンボルでもあるサメたちを守っているんですね。
このエリアには多くの種類のサメが展示されており、シロワニなどの大型のサメたちのほか、深海のサメ、熱帯・亜熱帯地域にすむサメなど多種多様な姿形をしたサメたちが展示されています。
飼育下にあるトラフザメが単為生殖
中でも避けずには通れないのは、やはりこのトラフザメの水槽でしょう。
このトラフザメというサメは、通常は他種のサメと同様にオスとメスの個体が交尾を行い、受精することではじめて子孫を残していきます。しかし近年の観察や研究で、単為生殖(メスのみで子をつくること)を行うことが明らかになってきています。
アクアワールド・大洗でも、生物学的に希少な事例であるトラフザメの単為生殖が確認されました。
現段階ではトラフザメやウチワシュモクザメなどで観測されている単為生殖ですが、明確な条件が判明しているわけではなく、メカニズムや要因の多くが不明のままです。
詳細は今後の研究によって明らかになっていくでしょう。この単為生殖で生まれた子どもの個体を飼育していくことで、新たな発見があるのかもしれません。
このエリアはサメの飼育数も多く、見どころが満点です。
しかし例に漏れず、このエリアの住人はサメたちだけではありません。アクアワールド・大洗が近年サメと同じように力強くアピールしているのはマンボウたちです。
シロワニに並んでの目玉とも言えるこのマンボウですが、ひとつの水槽で複数の個体を飼育しています。
この光景は、全国を探してもなかなかお目に掛かれないのではないかと思います。それぞれがマンボウを象徴するようなゆっくりとした動きで泳いでおり、眺めは壮観です。
サメについて学べるシャークダディズルーム
進路を進んでいくと、開けたエリアが見えてきます。
ここは架空のサメ研究の父「シャークダディ」のラボスペースです。大きく開いたカルカロドン・メガロドンの歯の化石標本を筆頭に、様々なサメたちの顎骨や剥製、卵殻標本が展示されています。
このラボの情報量はかなりボリュームがあり、館内を移動して疲れた体を休ませながらでもサメたちの世界に浸かることができます。しれっと展示されている標本の数々もかなり貴重なものが多くあり、映画ではお馴染みだが水族館では見ることはできないであろうサメ・ホホジロザメの剥製も鑑賞できます。
サメについての資料や情報は全て架空ではなく本物なので、没入間違いなしです!
オリジナル“サメ”メニューが味わえるカフェも
シャークダディズルームの横にはアクアワールド・大洗オリジナルの商品を多く取りそろえるコレクターズショップ「ガレオス」や、美味しいオリジナルメニューを楽しめるリラックスカフェ「マーメイド」があります。
今回は海を眺めながら食事を楽しむことができる窓際の席で、「マーメイド」で提供されているサメグルメをいただいてきました!
ナゲットは通常のナゲットに加え、ノリとゴマが衣に入ったフライと一緒に盛ってあり、想像を軽く超えてくる柔らかさ。「サメの身は固くて臭そう……」というサメに対するイメージを一発で払拭できるほどなじみやすい味となっています。
かぼちゃ風味のフカヒレスープの方は、濃厚でなめらかなかぼちゃスープにふかひれが入っています。付属のパンにつけて食べると、満足度も高く、非常に美味しかったです!
従来フカヒレは中華料理に使われることが多く、醤油ベースのスープに浮かんでいるところを想像しがちでしたが、ふかひれ本来の食感や淡白な風味を活かしてかぼちゃスープにすると美味しいという新発見があり、とっても面白いメニューを食べることができました。
完全屋内型の「オーシャンシアター」
これまでたくさんサメの話をしてきましたが、館内で見られる海獣や海鳥の種類も豊富なんです。
なごみの海ゾーンにはカナダカワウソ、ゴマフアザラシ、エトピリカが展示されています。こちらは5階から6階にまたがる高さのある水槽となっており、陸地にいてリラックスする姿と水中で勢いよく泳ぎ回る姿のどちらも観察できます。
中でもエトピリカは絶滅危惧種に指定されており、飼育している水族館も決して多くはありませんので、見ることができるのはとても珍しいと思います。
水族館の大きな見どころといっても過言ではない動物たちのパフォーマンス。これらを楽しみに水族館に訪れる方もいるのではないでしょうか。
アクアワールド・大洗もイルカとアシカのパフォーマンスプログラムを行っており、専用の「オーシャンシアター」があります。それもかなり力が入ったつくりになっており、アクアワールド・大洗のプールは完全屋内型です!
「オーシャンシアター」では毎日「イルカ・アシカオーシャンライブ」が開催されています。晴れていれば、大きく広がる水平線と快晴を窓から見ることができます。
アシカとイルカのライブパフォーマンスは何度見ても迫力満点で、音楽に合わせてのジャンプで大きな水しぶきが上がる瞬間は、どの大人子ども関係なく大人気です!
実はアクアワールド・大洗のオーシャンライブはこの席からだけではなく、プール下のエリア「オーシャンホール」からものぞくことができます。
こちらはイルカたちがジャンプした後の動きや、下側のアングルからの泳ぎを観察することができ、穴場的存在とも言えます。
スルーするのはあまりにももったいない場所ですので、来館した際はこちらも要チェックです!