ベニテグリを食べる
ベニテグリは身がほかのネズッポよりも大きく、幅が広いぶん、身が多くとれるように思います。身も厚く、ほかのネズッポ類(てんぷらなどで食用になる)とは別物の魚と思ったほうがいいかもしれません。
上記写真は2023年に長崎の以西底曳網漁業によって漁獲されたベニテグリで、これを数匹購入、身を引いて薄造りにして食しました。写真のひと皿で3匹分となります。
実際に食するときは、醤油ではなくポン酢で食したほうが美味しくいただけました。独特な食感を堪能してみてください。
ベニテグリの天ぷらは先述したようにネズッポ属やヨメゴチといった魚の天ぷらとはまったく異なったものといえます。しかし決して悪いものではなく、肉量が豊富で美味しく食べることができます。
このほか、唐揚げやフライ、煮物などでも美味しく食することができます。
個体数も多く底曳網漁業が行われているシーズン(9月~翌年5月)には安価で手にいれることができますが、このベニテグリは底曳網漁業以外に漁獲する手段はほとんどなく(釣りではなかなか釣れるものではない)、一般に底曳網漁業が禁漁期に入る5~9月には入手することが困難になります。
つまり、底曳網のある時期でないと手に入れることができない魚なのです。
ネズッポの仲間のさばき方
ネズッポの魚は小さく細いので、タイやアジなどと比べるとさばきにくいところがあるように思われますが、実際にはコツをつかめば簡単にさばくことができます。
ベニテグリでさばき方を紹介したいところでしたが、今回は同じネズッポ科のヨメゴチでさばき方を説明します。
ヨメゴチはネズッポ科の大型種で全長30センチをこえます。浅海~水深100メートルくらいの砂泥底に生息しています。大型になりてんぷらの原料として重要なものです。
見た目はネズッポ属の魚に似ていますが、後述する前鰓蓋骨棘の形状などに違いがあります。
ネズッポ科の魚の鰓蓋前方には前鰓蓋骨棘という強い棘があります。刺さるとけがをする恐れがありますので、どこにあるかあらかじめチェックしておきましょう。鰓孔のちょっと前あたりに1対あります。
ちなみに調理の際には要注意な前鰓蓋骨棘ですが、ネズッポ科魚類の同定にはこの棘の形状が重要になることもあります。
ヨメゴチの前鰓蓋骨棘は長くヤリ状に伸び、後方は内側に曲がらずまっすぐなため、ネズミゴチなどネズッポ属魚類と見分けられますが、ネズッポ属の魚でもヤリヌメリはヤリ状の前鰓蓋骨棘をもちます。
ネズッポの仲間を捌く手順
第2背鰭の基部後方から包丁を入れていきます。
第2背鰭の基部後方から包丁を入れ、前にすすめていきます。
第1背鰭のちょっと後ろまできたら包丁を立てます。この際、鋭い前鰓蓋骨棘に注意。
ここから皮を引いていきます。包丁を使って皮を引いていく方法もありますが、筆者は手で皮を引きました。
手で皮を引いて完成。ですが、ふつうは包丁でやったほうがうまくいくでしょう。天ぷらなど揚げ物ならばここで水分をきった後、衣をつけて揚げます。刺身ならこの後薄く身をそいでいきます。