ギバチの保全 現在絶滅危惧II類に選定
ギバチは現在絶滅危惧II類に選定されています。
実際にもともとギバチのような肉食性が強い魚は個体数が少ないのですが、近年はさらに個体数が減少しています。その減少理由は不明ですが、河川改修や外来魚の影響によるところが大きいと考えられます。
そんなギバチを保全するのに私たちができることといえば、採集は必要最小限にとどめるということ、生息場所をやたらと公開しないということ、そして観賞魚店で販売されている淡水魚をむやみに購入しないということです。
特に販売されている淡水魚(および生物)には小遣い稼ぎのためか、乱獲により採集されたものも多く見られるため、養殖されたものを除き日本産淡水魚の購入は避けるべきでしょう。欲しい淡水魚がいるなら、少量を採集してそれを大事に持ち帰って飼育するようにします。
そしてもう1種、来年の目標
日本には5種のギギ科魚類が生息しています。
ギバチ、アリアケギバチ、コウライギギ、ネコギギ、そして科の標準和名にもなっているギギです。このうちコウライギギは特定外来生物とされ、もう1種のネコギギも国の天然記念物です。
そのため、私たちが入手かつ飼育できるのは現状でギギ、ギバチ、アリアケギバチくらいのものです。
筆者はギギ科の種のうち、先述したようにギバチとアリアケギバチは飼育したことがあるのですが、ギギだけは飼育したことがありません。
ギギは基本的に近畿以西、山陽地方、四国の一部、九州の一部にのみ生息している種で、広い分布域のわりには過去なかなか出会うことができていなかった種です。
ギギはこの属の中でも特に大型になる種で、全長50センチを超えるくらいになり、日本の淡水産のナマズ目の在来種のなかではナマズ属の魚種につぎ大きくなります。
飼育には大型水槽が必要になりますが、筆者の自宅にある、ギギをお迎えするための大型水槽はいまだに物置でほこりをかぶっているところです。
来年はこのギギを探すために、西日本の河川を旅したいとも思っています。来年のいまごろ「2025年はついに憧れのギギを採集した」という記事を公開できますように。
(サカナトライター:椎名まさと)
文献と謝辞
中坊徹次編(2013)、日本産魚類検索 全種の同定 第三版、東海大学出版会
中坊徹次編(2018)、小学館の図鑑Z 日本魚類館、小学館、528pp
Watanabe K. and H. Maeda. 1995. Redescription of two ambiguous Japanese bagrids, Pseudobagrus aurantiacus (Temminck and Schlegel)and Pseudobagrus tokiensis Dordelein. Japan J. Ichthyol.,41:409‐420.
採集に同行していただいたHN「ふじさん」さん、ありがとうございました。
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