水族館が好きで、日本全国の施設に足を運ぶ筆者。昨年は国内の様々な水族館のほか、海外の水族館も訪問しました。
2024年2月に訪れたのは、台湾・桃園市にある都市型水族館「Xpark」。展示がとても印象的だったので、その様子をレポートします。
YOUは何しに台湾へ?
今回の台湾旅の目的は、美味しいものを食べて、可愛い雑貨を買って、元気をチャージすること。Xparkに行くのはあくまでおまけでした。
実は、台湾には以前から行きたいと考える水族館があるのです。それが、台湾国立海洋生物博物館。
規模が大きく、世界的にも有名な水族館で、ずっと行ってみたいと思っているのですが、今回は台湾の北にある台北旅行。台湾国立海洋生物博物館のある屏東県は台湾最南端の県で、台北からだと距離があります。しかも1人ということで、今回は断念しました……(絶対リベンジします)。
ですが、水族館好きの私。他にも水族館はないかと調べてみると、あの「横浜・八景島シーパラダイス」がプロデュースしている水族館が台北にあるのを発見! それが、台湾・桃園市のXparkです。
日本の水族館が海外で水族館を作るってどんな感じだろうと興味津々。空港から近いこともあって、便利だったのでウッキウキで出発しました。
いざ、Xparkへ!
Xparkは、大型のアウトレットモールの中に併設されています。最寄駅に着いた時点では、「本当にここに水族館があるのか……?」と疑ってしまうほど、ほとんどの人が買い物目当てのお客さんでした。
不安な気持ちになりつつも、人の流れに沿って水族館を目指します。
そしてやってきました、Xpark!
入り口はセブンイレブンの隣。現代的な都市型水族館という雰囲気です。
チケットを買っていざ入館!
入り口を少し進むと、早速鮮やかな水槽に見惚れてしまいました。私の好きな魚、クダゴンベ。ちょこんと鎮座する姿に旅の疲れも癒されます。
水槽も透明感抜群で、鱗のキラキラした感じが直で目に入ってきます。
それはまるで“直射魚光”とでも表したいほどに眩しい姿でした。水槽をじっと見てしまいます。
水族館でお馴染みのチンアナゴ、ニシキアナゴもいました。日本でも人気の魚たちですが、台湾のお客さんにもやはり人気でした。
水族館の目玉・大水槽は?
順路を進んでいくと大きな水槽が登場!
そこは、一面の青。そして、それをじっと眺める人たちの姿……。私にとって水族館で特に好きな光景が、台湾にもありました。
この水槽を見ると、初めて来たはずなのになぜか「懐かしさ」を感じました。
日本の水族館がプロデュースしていることが分かるような感じと言えば伝わるでしょうか?
筆者の経験上、海外の水族館には大きな水槽があるものの、入っている生き物のサイズや数などバランスがあまり合ってないなと感じることが多いのですが、この水槽を見たときにはその違和感がありませんでした。
海は広いので、実際は綺麗に生き物が揃う瞬間はそうそうない。そのようなことを考えると、日本の水族館展示は海の中の綺麗な瞬間を切り取ったような特徴があると思います。
この大水槽は、まさに海の中の綺麗な瞬間を切り取って展示している、日本の水族館の雰囲気を感じ取れました。
空間演出が素敵な展示の数々
順路をさらに進んでいくと、「珊瑚潜行」の文字が見えてきました。
この広い空間は、日本の水族館でもあまり見たことがないかもしれません。
床には映像が映し出されていて、空間一帯が珊瑚礁のよう。座って見ている人も何人かいました。
他にも、クマノミやサクラダイの展示もあります。
岩の間に挟まるサクラダイは、日本の水族館でもよく見かける光景ですね。
写真映えなどが考慮されている一方、自然環境をしっかりと表現した展示の上で成り立っているのが心地よく、展示自体にも見応えがあります。
台湾にある他の水族館には行ったことがないので、台湾の人たちにとっての水族館のイメージとXparkの展示にどのくらいの違いがあるのかは分からないのですが、本当に海の中を切り取ってきたような素敵な展示が続きます。
一番印象に残った深海エリア「深海尋秘」
特に印象的だったのが、「深海尋秘」という深海エリアです。
全体の中でも一番印象に残ったのですが、壁が光っている演出がロマンチックで神秘的な空間でした。
他にもアーチ型の水槽などがあり、日本の水族館のありとあらゆる展示・演出をひとまとめにして見せつけられている感じがして楽しかったです。
ちなみに館内では、世界的作曲家・久石譲さんの書き下ろし楽曲が使用されています。
“タピオカクラゲ”との出会い
順路を進んでいくと、次は「癒見水母」というクラゲ展示エリアに入りました。
どのクラゲも、うっとりするような美しさです。
「夜行游水母」……なんて綺麗な名前なんだろうと調べてみると、オキクラゲのことでした(学名という共通言語があって良かった……)。
台湾から北海道・函館にかけての黒潮域に生息していて、成長すると鮮やかなえんじ色が現れてくるクラゲです。
学名のnoctilucaは「夜光虫」という意味。刺激を受けると青白く発光するといいます。名前の「夜行」もここから来ているのでしょうか。
日本だと「オキクラゲ」という名前ですが、台湾名は「夜行游水母」。同じ生き物でも、言語が違うだけで印象が全く変わってきます。
ちなみに英語圏の水族館だと、地元で呼ばれている通称などはあっても、基本的に学名で展示がされているので、あまり名前で感動することはありません。
台湾は日本と同じく漢字を使う国だからこそ、生き物の新しい一面が垣間見えたように思います。台湾に来ているからこその楽しみ方、面白いです。
台湾名で「珍珠水母」はタコクラゲ 「珍珠」の意味とは?
続いて登場したのは、台湾名で「珍珠水母」。
学名はmastigias papuaで、日本ではタコクラゲと呼びます。同種は、台湾やインド・フィリピンなど南洋で見られるクラゲです。
台湾に来て多くのタピオカ屋で食した私は、「珍珠」という漢字を見るとすぐに「タピオカ」と読むことができました。この文字が目に入った瞬間、「タピオカクラゲじゃん……!」と1人でハイテンションに。
台湾では、タピオカは「珍珠」と表現されています。正確にいうと、「珍珠=真珠(パール)」という意味です。
なので、ここでいう「珍珠」はタピオカではなく、実際は「パール」を指していると思われます。が、「タピオカクラゲ!」と舞い上がる私の気持ち、分かってくれる人がきっといますよね……?
実は、台湾ではクラゲの飼育研究が進んでおり、最近では国立海洋生物博物館が日本の鶴岡市立加茂水族館と飼育技術交流を締結しています。
大人になった時の水玉模様は確かにパール柄に見えますし、この命名には納得です。……でも、小さくてぷにぷにだし、これはもう“タピオカクラゲ”です!
タコクラゲ(タピオカクラゲ)との忘れられない出会いになりました。
展示は後半へ 既視感のある水槽も
タピオカクラゲを堪能したあと、順路を進み出会ったのが、なんだか既視感のあるこちらの水槽。
ここは品川……?
写真映えを求めて撮影するカップルに囲まれていたので、そそくさと退散して次に進みます。
次はアマゾンエリア。アロワナなどお馴染みの魚がたくさんいました。
足元に投影された植物の影がカサカサと揺れています。やはり空間演出がすごいですね。
可愛いアザラシもいました。
展示は外にも続く
この日はあいにくの雨と急激な気温低下で、あまりじっくりとは見れなかったのですが、展示は外まで続いていました。しかもとても広かったです。
上流〜下流までリアルに再現した川の展示や、ぐるっと一周歩くとカピバラの展示もありました(日本でもお馴染みの温泉も)。
ちなみに、台湾ではカピバラはとても人気らしく、「カピバラ生態公園」なる動物園では一緒に泳いだりプールで遊んだりもできるのだとか。
異国の地では生き物の違った姿を見られる
飛行機の時間の兼ね合いもあり、最後は駆け足になってしまいましたが、Xparkを十分に楽しんできました。
なかなか海外旅行で水族館には行かないな…という人もいるかもしれませんが、異国の地で見る生き物の、これまでとはまた違った姿はとても面白いですよ。
機会がある方はぜひ行ってみてください!
(サカナトライター:moka)