国際自然保護連合(IUCN)の研究グループはこのたび、2万3千種以上の淡水生物を地球規模で網羅的に評価しました。
その結果、世界の淡水生物の約4分の1が絶滅の危機に瀕していることが判明したのです。
この研究の成果は国際科学誌「Nature」に掲載されています(論文タイトル:One-quarter of freshwater fauna threatened with extinction)。
表面積は僅かでも多様性が高い
地球上に存在する水の97パーセント以上が海水であり、淡水域全体の表面積は1%未満。しかし、淡水域の種多様性は非常に高く、魚類を例にあげると、世界で知られている魚類の半数近くが淡水魚と言われています。
また、淡水域は海水域と比較して環境の変化を強く受けやすく、これまでに開発や乱獲、汚染など人類の生活の影響を強く受けてきました。
淡水生物の4分の1が絶滅の危機
この研究では1000人以上の専門家たちが20年以上かけて、魚類、甲殻類、昆虫など2万3496種に及ぶ、世界の淡水動物相の生息、保全状況について調査を行いました。
研究の結果、評価対象となった世界の淡水生物の約4分の1が絶滅の危機に瀕していることが判明。割合ではエビ・カニなどの節足動物で約30パーセント、魚類では26パーセントという結果になりました。
西暦1500年以降、淡水生物の89種以上が絶滅しており、178種はいつ絶滅してもおかしくない状況だといいます。
絶滅の危機に瀕している原因は?
世界に生息する淡水生物の多くが絶滅の危機に瀕していることが判明しましたが、この研究では絶滅の危機に陥っている要因も明らかになっており、開発や汚染、気候変動・異常気象、乱獲、外来種などが挙げられています。
実際、1970~2015年の期間に世界の湿地帯の約35パーセントが失われており、これは森林喪失の3倍ものスピードにあたるといいます。
種多様性を損なわないための取り組みが必要
このように世界の淡水生物たちは絶滅の危機に陥っています。
これらの生物はもちろん、現在はまだ絶滅が危惧されていない生物たちが消失しないためにも、現状の深刻さを受け止め、種多様性を損なわないための取り組みが必要とされています。
(サカナト編集部)