白い体にピンクや青紫のリング模様を持つ「フリソデエビ」は、まるで振袖を着ているような華やかな外見が印象的です。
不思議な見た目はもちろんだけでなく、ペアで縄張りを持ち、ペアで狩りをするという特徴的な生態でも知られています。
「フリソデエビ」の特徴は？
フリソデエビは、十脚目フリソデエビ科に属するエビの一種。体長は大きい個体でもおよそ5センチほどです。
インド洋や太平洋に広く分布し、普段は主に水深20メートル以浅の海底で生活しています。
フリソデエビはその名前の通り、まるで振袖を着ているように見える華やかな模様と形状が魅力的。
白や乳白色の体に浮かび上がるピンクや青紫のリング模様がパッと目を引くため、アクアリストやダイバーからは鑑賞対象としても注目されています。
フリソデエビ（提供：PhotoAC）あざやかな色合いと派手な見た目から、毒を持っているのでは……と心配になる人もいるでしょう。
しかし、実際のところフリソデエビは毒をもちません。カラフルな色合いは、捕食者から身を守るための警戒色の一種であると考えられています。
ペアでヒトデを襲って食べる＜フリソデエビ＞
フリソデエビは、常日頃から雄と雌が行動を共にします。そして、彼らの生態の特徴として、生きたヒトデを捕食することが知られています。
ペアで縄張りを持ち、ペアで狩りをするフリソデエビは、2匹で協力して効率的に獲物のヒトデを仕留めます。なんと、自分よりはるかに大きなオニヒトデもバリバリ食べてしまうそう。
フリソデエビは捕まえたヒトデをひっくり返し、露出したやわらかい腹側の内臓から順に全身を食べていくという特殊な食事のしかたをします。
アクアショップや水族館などで捕食シーンを見た人は、徐々に小さくなっていくヒトデの姿に驚くことも多いとか。
ヒトデを襲うフリソデエビ（提供：PhotoAC）フリソデエビを観察する機会があれば、ぜひヒトデを食べる姿にも注目してみてくださいね。
フリソデエビは自宅で飼育できる？
あざやかな色彩と美しい外見に惹かれ、フリソデエビを自宅で飼育したいと考える人も多いようです。
結論から言うと、フリソデエビの自宅での飼育は可能です。雌雄のペアでの飼育であれば安定しやすいですが、ペア以外の個体を同じ水槽に入れると、争いが生じることがあるため注意が必要です。
また、フリソデエビを飼育するなら、餌となるヒトデの調達も不可欠。一般に、フリソデエビはアオヒトデを好むとされていますが、アオヒトデより安価で手に入りやすいコブヒトデを与えるのもよいでしょう。
ただし、水槽の中でヒトデが死んでしまうと水質が悪化してしまうので、こまめな観察や水替え等の管理が必須。死がいや食べ残しなどは速やかに取り除く必要があります。
フリソデエビ（提供：PhotoAC）フリソデエビは比較的丈夫な種類であるため、初心者でも安心して飼育できます。適切な環境を整えた上で、華やかで癒しのある雰囲気を楽しんでみてくださいね。
なお、飼育し始めたフリソデエビは絶対に外に放流しないようにしましょう。
（サカナトライター：糸野旬）
