冬の味覚の一つ、牡蠣(カキ)。
牛乳のように白い色をしているほか、豊富な栄養を含むことから“海のミルク”とも呼ばれます。
最近では、産地直送してくれるサービスがあったり、ふるさと納税の返礼品だったりと、より手軽に味わうことができる水産物にもなりました。
そんな牡蠣ですが、実は水族館でも見ることもできるのです。宮城県仙台市にある「仙台うみの杜水族館」で噂のカキ展示を見てきました。
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仙台うみの杜水族館への道のり
仙台うみの杜水族館は、宮城県仙台市にあります。
東京から仙台駅までは新幹線で約2時間です。仙台駅からJR仙石線で中野栄駅に行き、そこから徒歩15分ほど歩いて向かいました。
ちなみに、中野栄駅からはバスも出ています。
実際に歩いてみると想像よりも遠く感じたので、脚力に自信の無い人やお子さん連れの人などはバスを利用することをおすすめします。
ということで、いざ入館です!
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<真っ赤なマボヤ>がお出迎え
入館すると早速、天井一面の水槽が……!
この水槽に入る光は自然光らしいのですが、陽の光が水槽に射すとマボヤが真っ赤に照り、とても綺麗でした。
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多くの水族館に足を運んだことがありますが、ホヤの展示は初めて見たように思います。
ホヤは三陸の名産品。早速、仙台の海を感じることができました。
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周りを見ても、思わず足を止めて見入ってしまう人が多かったです。
岩壁と魚たちの煌めきが印象的な大水槽
ホヤ水槽を抜けると、すぐ目の前に大水槽「いのちきらめく うみ」が登場。
荒々しい岩に囲まれた壁面が印象的で、イワシの群れが目を惹きます。
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こちらの水槽も、ホヤ水槽と同じく自然光が射すような仕組みになっているそう。
水槽を見ていると、イシダイの群れが泳いできました。
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東北の海は冷たいイメージがあると思うのですが、三陸の海は親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかる場所。冷たい海の魚と暖かい海の魚どちらも見ることができる、豊かな海なんです。
しかし最近では、地球温暖化の影響で、暖かい海の魚が多くなっていたり今まで見なかったはずの魚も見られていたりするといいます。
水槽には目立って大きな魚はいなかったのですが、魚たちの煌めきと岩壁がマッチしていて、三陸の海を表現した見応えのある展示になっていました。
ケルプの海と魚たち
親潮エリアを抜けると、海藻が目立つ大きな水槽が現れました。<彩り 海藻のうみ>エリアです。
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暖かい海の海藻と冷たい海の海藻が生息する三陸特有の環境をイメージしたエリアで、海藻や岩礁が映える水槽がいくつも展示されています。
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この水槽で一番印象に残ったのがキツネメバル。何を考えているのか全く分かりませんが、よく見ると目玉だけキョロキョロして周りの様子を伺っています。そんな姿が可愛いんですよね。
貝殻を敷き詰めた水槽も印象的でした。他の水族館ではあまり見たことがないように思います。
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魚たちは周りとうまく同化していて、見つけるのが結構大変だったのですが、見つけた時はとても嬉しい気持ちになります。
宝物を見つけた時のような感覚ですね。夢中になって観察してしまいました。
岩に擬態しているケムシカジカはすぐに見つけることができました。フォルムがとってもかわいいです。
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魚を観察していると、ふと「意思を持って生きているんだな」ということを感じることがあります。
何を考えているか本当のところは分からないですが、なんだか意思が分かるようになってくるような感覚や、魚たちにも個性があると気づける瞬間があることこそ、私が水族館で魚たちを見るのが好きな理由の1つかもしれません。
三陸の「海女さん」の展示も
そして、なんと三陸の「海女さん」の展示もありました。
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福岡県福岡市にあるマリンワールド海の中道でも同様の展示を見たことがありますが、漁業や文化関連の展示のある水族館はあまり多くはありません。
漁村をはじめとした海と人の文化史は面白いものも多く、とても勉強になりました。
ちなみに、民俗学の第一人者、宮本常一さんの『海に生きる人びと』(河出文庫)は、日本人の祖先である海人たちの移動と定着の歴史と民俗についてまとめたもので、私のおすすめの本です。
三陸の漁業を紹介する水槽展示たち
海藻エリアの次は<大漁 宝のうみ>と題したエリアで、三陸で漁獲される魚たちの展示が続きます。
個性的な見た目の魚が多いのが印象的で、なんとなくどの魚も目が大きい気がしました。
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イトヒキアジは薄い体ですが、刺身にすると非常に美味しいと聞いたことがあります。いつか食べてみたいです。
長期飼育日数!<ヨシキリザメ> 気仙沼港で9割近くが水揚げ
このエリアにはなんと、ヨシキリザメが展示されていました……!
ヨシキリザメは長期飼育が難しいとされているサメで、日本の水族館では滅多に見ることができません。
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身はかまぼこやちくわなどの練り物に、尾はフカヒレとして利用される、日本では最も多く漁獲されているヨシキリザメ。日本における全漁獲量のうち、9割近くが宮城県内の気仙沼港で水揚げされているそうです。
泳ぎ続けないと死んでしまう回遊魚ですが、この日は水槽上部をゆったりと泳いでいました。ごく稀に人を襲うこともあるとのことで、高速で泳ぐイメージがあったため、少し意外でした。
飼育が難しいサメなので、いつまで見られるかは分かりません。サメ好きの方は機会があれば、ぜひ行ってみてください。
リアス式海岸がつくる穏やかな内湾
三陸の海岸はリアス式海岸と呼ばれ、その入り組んだ海岸は穏やかな内湾を作り出します。そこで盛んになったのがカキの養殖です。
<内湾 恵みのうみ>エリアでは、そんな内湾の生態系を展示しています。
展示は2つの水槽で構成されていて、「抑制棚」と「本養殖棚」に分かれています。
マガキを成長させる段階で使う<抑制棚>
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抑制棚はマガキを成長させる段階で使う棚で、潮が引くとマガキが海面から出るように低めの作りになっています。
マガキが少し成長したタイミングでこの抑制棚に移動させるそうですが、海面から出して厳しい環境で育てることで、長い輸送に耐えられる生命力の強いマガキに育てることができるといいます。
マガキを大きく育てる<本養殖棚>
本養殖棚の水槽は、先ほどの抑制棚の水槽に比べて深い水槽になっています。
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本養殖棚では棚と棚の距離を取ることで、マガキを大きく育てます。
<厳しい環境に身を置くと強くなる>という考え方が、牡蠣にも適用されることに衝撃を受けました。
以前にオーストラリアで食べたカキは、同じマガキでも小粒だったことをふと思い出しました。
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養殖方法も日本と違うらしく、海外だとカゴに入れて育てるとか。養殖方法の違いが大きさや食感にも影響を与えているのかもしれませんね。
水族館でカキの養殖を学ぶという、とても面白い体験になりました。
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牡蠣水槽の横にはアナゴたちもいて、とてもかわいかったです。
ちょっと外に出て<広瀬川エリア>へ
外に出ると、仙台市を流れる広瀬川を再現した<広瀬川 東北の山・里・川>エリアがあります。
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水槽の綺麗さはもちろんのこと、なにより魚が大きい!
写真だと分かりにくいのが残念ですが、大きな魚体のイワナなどとても見応えがありました。
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そのほか、魚以外にもリスやカエルなど、広瀬川にすむ生きものが展示されていました。
魚だけじゃない! 珍しいイルカも
ここまで魚類展示中心にリポートしましたが、仙台うみの杜水族館では全国的にも珍しい生きものが飼育されています。
そのひとつが、イロワケイルカ!
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イロワケイルカはパンダのような白黒の体色が特徴の小型のイルカで、南米に生息しています。
全国でも見れるのは仙台うみの杜水族館と鳥羽水族館の2箇所だけ。
小さな身体を器用に駆使してハイスピードで泳いでいました。顔をよく見ると、つぶらな瞳がかわいいです。
なかなか出会えないイルカということで、1時間くらい見てしまいました……。
また、2階に行くと、お馴染みバンドウイルカやペンギン、アシカにも出会えました!
三陸の海中世界を味わおう!
仙台うみの杜水族館には他にも、未だ謎の多い深海に関する展示を行う<深海 未知のうみ -深海ラボ->や、シナイモツゴやゼニタナゴなど地域の希少な生きものの繁殖に取り組む<うみの杜ラボ>など多様な展示があります。
加えて、水族館でお馴染みの生きものたちも多く、お子さんを含めた幅広い年齢層で満足度が高そうです。
筆者は念願の牡蠣展示が見られて大満足だったほか、海に実際に潜ってきたかのような展示を満喫しました!
みなさんも、ぜひ三陸の海中世界を味わいに行ってみてはいかがでしょうか。
(サカナトライター:moka)