ひらひらと海の中を漂う、かわいらしいクリオネ。その小さく透き通る体でまるで羽ばたくように動く姿は、まさに「天使」そのものです。
でも、そんなクリオネに意外な一面があることをご存じでしょうか?
ふわふわとした姿とは裏腹に、エサを前にしたとき、クリオネは突如「悪魔」に豹変するのです。
クリオネを好きになった理由は……
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クリオネが住むのは流氷の下などの極寒の海。その姿から「流氷の天使」と呼ばれ、羽をパタパタと動かして泳ぐ様子は本当に愛らしいです。
でも私がクリオネを好きな理由は、その可憐さだけではありません。幼いころにテレビで見た「恐ろしい姿」とのギャップも大きいのです。
初めてその姿を観た時、ショックのあまり立ち尽くしたのを覚えています。その正体は「バッカルコーン」。名前からして恐ろしい響きです。
エサを前にすると、クリオネの頭がパカっと割れ、そこから「バッカルコーン」と呼ばれる6本の触手が飛び出してくるのです。まるで「悪魔」のような……。
まるで「悪魔」? 豹変するクリオネ
耳が立っているような可愛らしい頭部が割れ、触手のようなものが獲物を覆います。こ、こわすぎる……。
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さっきまでの愛らしい姿はどこへやら。まるで何かに怒り狂っているようにも見えます。
クリオネは唯一のエサであるミジンウキマイマイを食べる時に、このバッカルコーンで栄養分を吸い上げるのだそうです。
優雅に漂う小さな体に隠された、鋭い捕食者としての一面が現れる瞬間は、まさに「天使の仮面を脱いだ悪魔」のよう。この二面性がたまらなく好きです。
1年ぐらいはエサを食べなくても生きられるそうなので、水族館の方でもこのバッカルコーン状態のクリオネを見るのは難しいとか。
実は飼育できる!
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そんなクリオネですが、実は家庭でも飼うことができるとか。
低温を保つ必要があるので、冷蔵庫の中といった低温環境で、2週間に1回程度の定期的な海水交換も必要ということです。
ちなみにネット上では、大阪の激安スーパー「スーパー玉出」で瓶入りのクリオネが売られていたという情報や、女性アナウンサーがクリオネを飼っていたという記事も見つけました。
場所によっては市場での購入も可能なようです。ただし、餌として食べるのはミジンウキマイマイのみ。このミジンウキマイマイは、1.3センチととても小さな浮遊性の貝類で、アクアリウムショップや市場での入手はほとんど不可能です。
飼育に興味がある人は、一度飼育したクリオネは放流せずに終生飼育をできるかよく考えてから飼育をはじめましょう。
(サカナトライター:minto)