水族館で見かけることも多いマンジュウイシモチは、小さく派手な模様が目を惹く魚です。
鑑賞魚として親しまれている小さく派手な海水魚・マンジュウイシモチは、どのような生活史を送っているのでしょうか。
<いちごパンツ>とも呼ばれるマンジュウイシモチ
マンジュウイシモチはスズキ目テンジクダイ科に属する魚です。テンジクダイ科に属する魚には、テンジクダイやネンブツダイ、クロホシイシモチなどがいます。
マンジュウイシモチはまず、その模様が大きな特徴。顔の部分は黄色で、中央には赤い目が目立ちます。
真ん中には銀色の鱗がひかる黒い横縞が入り、尾びれの側は白い体色に赤い水玉模様がちりばめられています。この尾びれ側の模様から、<いちごパンツ>と呼ばれることもあるんだとか。

英名は“pajama cardinalfish(パジャマカーディナルフィッシュ)”。水玉模様がまるでパジャマを着ているように見えることから名づけられました。「カーディナルフィッシュ」というのは、英語でテンジクダイという意です。
マンジュウイシモチは、西太平洋や東インド洋の温暖な海域に広く分布。ジャワ島からフィジー、オーストラリアのグレートバリアリーフ、日本では奄美大島や石垣島、西表島など広範囲に生息しており、各地でサンゴ礁の周辺で群れを作って泳ぐ姿が観察されます。
マンジュウイシモチは一夫一妻制!
マンジュウイシモチは、1匹のオスと1匹のメスが長期間ペアをつくる「一夫一妻制」。ペアは常に寄り添い、繁殖を行います。時々、ペアではない魚と繁殖を行うこともあるそうです。
そして、マンジュウイシモチは「口内保育」を行います。これはテンジクダイ科の多くの魚にみられる特徴のひとつです。

ペアになると、オスはメスのお腹のあたりで口をパクパクさせはじめます。この行動は求愛行動だといわれています。
メスが水中に産卵すると、オスは素早く受精。その後すぐにオスが卵塊を加え、口内保育にうつります。
口内保育の期間は約2週間から1カ月ほど。この間、オスはエサを食べずに卵を守ります。
卵をもつオスは口のあたりが膨らむので、一目で見分けることができます。
自宅での飼育も可能 注意点は?
マンジュウイシモチはその可愛らしい見た目から、アクアリストからの人気も高いのだとか。温和な性格なため、アクアリウム初心者にも飼育しやすい魚とも言われています。
温暖な地域に生息するため、25度前後の水温で飼育をすることが重要。水槽用ヒーターやクーラーを使って適切に水温を保ちましょう。
動物食性なのでホワイトシュリンプやクリルなどの冷凍餌、乾燥餌を与えるのがおすすめ。人工飼料にも慣らすことができます。

臆病で泳ぎが遅いので、どう猛な肉食魚や泳ぎの速い魚との飼育は注意が必要。特に、エサをあげるときはそういった魚に食べられてしまうこともあるため、マンジュウイシモチまでエサが行き届いているかきちんとチェックしてあげましょう。
臆病な性格をしているため、同種を複数匹で飼育し群れをつくってあげること、隠れ家をつくってあげることも大切です。
水族館で観察できる
自宅で飼育が難しい、という人もマンジュウイシモチが飼育されている水族館に行けば観察することができます。
可愛い見た目がとても目立つため、すぐに見つけることができますよ。
みなさんもぜひ、パジャマのような、いちごパンツのような可愛い模様のマンジュウイシモチを観察してみてください。
(サカナト編集部)