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海を彩る<サンゴ>はれっきとした動物 消えつつあるサンゴを守るために【私の好きなサカナたち】

Webメディア『サカナト』には様々な水生生物好きのライター(執筆者)が所属しています。そんなライターの皆さんが特に好きなサカナ・水生生物について自由闊達に語らう企画「私の好きなサカナたち」。今回はサカナトライター・海人さんによる「私の好きなサカナたち」をお届けします。

いきなりですが、「サンゴ」について正しいものは次のうちどれでしょう。

海底に生えるカラフルな「植物」、色とりどりの「岩」、骨があり、産卵する「動物」──。

正解は「動物」です。

「え、サンゴが動物? 動かないじゃん!」と驚かれる人がいるかもしれません。

実際にサンゴは魚のように泳いだり、カニのように歩いたりはしません。しかし、骨格を持ち産卵をする、れっきとした動物なのです。

毎年、沖縄の海で幻想的に浮かび上がるピンク色の産卵シーンは、サンゴが生きている動物だという何よりの証拠なのです。

サンゴの産卵(提供:海人)

沖縄のサンゴ礁が特別な理由

沖縄の海は、世界でも有数のサンゴの宝庫。

世界に生息する800種類ものサンゴのうち、沖縄県の近海の海にはおよそ半分の380種類以上のサンゴが生息しています。

この種類と規模は、オーストラリアのグレートバリアリーフに匹敵するとも言われています。

特に石垣島と西表島の間に広がる「石西礁湖」は国内最大級のサンゴ礁エリアであり、世界的にも貴重な存在です。

サンゴ礁は海の生き物の「マンション」

沖縄のサンゴ(提供:PhotoAC)

サンゴ礁は多くの海の生き物にとって、なくてはならない生活の場です。

カラフルな熱帯魚やウミガメ、小さなエビやカニまで、数えきれない生き物がサンゴ礁を住み家や隠れ場所として暮らしています。

サンゴ礁があることで海の生態系は支えられ、豊かな海の環境が維持されています。

サンゴが消えていく……その理由とは?

美しいサンゴ礁ですが、近年急速に減少。その主な原因が「白化現象」です。

これは、海水温の上昇や環境汚染によってサンゴが弱り、骨格が露呈して白くなり、死滅することを指しています。

また、私たちが日常的に使う日焼け止めに含まれる化学物質や生活排水、海洋ゴミなども、サンゴの白化現象を加速させる大きな原因となっていると言われています。

白化したサンゴ(提供:PhotoAC)

サンゴが失われれば、多くの生物が居場所を失います。その結果、小魚やそれを餌とする大きな魚たちが減り、生態系全体に悪影響を及ぼします。

また、サンゴ礁が消えると波を和らげる効果が失われ、海岸の浸食がすすむ危険性も高まります。

サンゴはただ美しいだけではなく、私たちの生活とも深く関わっているのです。

サンゴを守ることは海を守ること

私たちができることはたくさんあります。

海遊びをする際には環境にやさしい日焼け止めを使う、海に浮いている(落ちている)ゴミを見つけた時には拾って帰る、サンゴ礁保護活動に参加するなど、小さな行動が沖縄をはじめとした世界中の美しい海を未来につなぐことになります。

サンゴは、海の生態系を支える大切な動物。サンゴを守ることは、私たちの生活環境を守ることにもつながっています。

次の世代にも美しいサンゴ礁を残していけるよう、私たちにできることを考えてみませんか。

(サカナトライター:海人)

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海人

海人

海のビジョンをデジタルで再現

沖縄本島・パラオ・石垣島で8年間、ダイビングインストラクターをしていました。現在は3DCGやメタバースで水族館などを作成中。海とサカナとサンゴの魅力を発信します。

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