4月25日は「世界ペンギンの日」です。
毎年この時期になると、南極のアメリカ基地に「アデリーペンギン」が姿を見せることからアメリカで記念日が制定されました。
ペンギンのことを考えるきっかけに!世界ペンギンの日
「世界ペンギンの日」の制定は、毎年4月25日前後になると、南極大陸にあるアメリカのマクマード基地に姿を見せることから、基地の科学者たちが「ペンギンの日」として祝ったことがきっかけと言われています。

現在では、減少しつつあるペンギンたちの種の保存や保護、環境について考える日として、世界中の動物園や水族館でペンギンのことを知ってもらうためのイベントが行われています。
アデリーペンギンは現在は保護活動などにより増加の傾向にあります。しかし、2010年には減少のピークを迎え、地球温暖化の影響などで40%程数を減らしてしまいました。
「世界ペンギンの日」を迎えるにあたり、「アデリーペンギン」が直面している問題を通して、ペンギンたちの未来について一緒に考えてみましょう。
南極に生息するペンギン「アデリーペンギン」
1840年、探検家であるディモン・デュルヴィルが南極大陸の一部を見つけ、彼はその大陸に妻の名前を取って「アデリーランド」と呼びました。そして、アデリーランドにすんでいたペンギンに「アデリーペンギン」と名付けたのです。
彼らは南極で繁殖する2種類のペンギンのうち1種。9~10月になると、南極大陸内の島々に巨大なコロニー(集団)を作ります。
過去にはロス島にて約50万羽の巨大コロニーが確認されたこともあります。
ファーストペンギンの秘密
ここで、アデリーペンギンにまつわる面白い話をひとつ。「ファーストペンギン」という言葉を聞いたことはありますか?
ビジネス用語でよく使われ、「挑戦者」「勇気ある者」というポジティブな意味で捉えられます。

このファーストペンギンという言葉は、アデリーペンギンのとある習性が由来だといいます。
アデリーペンギンは普段、海に潜って魚を獲るのですが、海には天敵だらけ。そこでどうするかというと、誰か1匹が海に落ちるまで、仲間同士で押し合いをするのです。
そして、海に落ちたペンギンが天敵に捕食され、血の海になれば危険と判断し、無事に泳ぎ始めたら、他のペンギン達も次々と海に飛び込んでいくのです。

人間には勇気ある1匹が仲間のために飛び込んでいるように見えますが、実際は“毒味”と似た役割。自然界は想像以上に過酷な場所ですね。
アデリーペンギンに迫る地球温暖化 過去の事例は?
南極半島の西側にあるパーマ基地には多くのアデリーペンギンが生息しており、700年も前から毎年、繁殖のために訪れています。全盛期には1万5000羽以上が確認されていました。
しかし南極半島の西側は、地球上で最も温暖化が進んでいる地域のひとつ。約50年で摂氏6.3度も上昇、2001年~2002年には過去最高気温を記録しています。
さらには普段降らない大雨、季節外れの雪の影響で環境が大きく変化し、毎年何万羽と訪れていたアデリーペンギンが、2002年頃には4000羽ほどしか確認されなくなったといいます。
このパーマ基地の話は、南極全体のアデリーペンギンの小さな群れのひとつですが、同じように危機を迎えているのは決してこの群れだけではないはず。もちろん他の種にも影響が及んでいることを考えると、地球規模でペンギン達の未来に警報を鳴らしているのは間違いありません。
実際、世界に存在している18種類のペンギンの内、10種は絶滅危惧種、3種は準絶滅危惧種とされています。
これから先のペンギンたちの未来は、私たち一人ひとりの意識や行動に委ねられているのではないでしょうか。「世界ペンギンの日」をきっかけに、私たちにできることを考えてみませんか?
(サカナトライター:ティガ)