西表島の澄んだ海の中で、不思議な生き物との出会いがありました。
一面真っ白な砂浜にあいたひとつの穴の中。そこから顔を覗かせていたのは、真っ白なトラフシャコでした。
【画像】トラフシャコと同様にパンチ力に定評のある<モンハナシャコ>の顔
トラフシャコってどんな生き物?
トラフシャコは、シャコの中でも世界最大の大きさで、全長40センチにもなります。沖縄県石垣市では「パンカー」という名でも知られています。
その由来は、トラフシャコの“パンチ力”。時速80キロのスピードパンチで、貝やカニの殻を一撃で粉々にします。
水槽のガラスを割る可能性もあるので、水族館でも要注意生物だそう。パンチ力で有名なモンハナシャコがいますが、トラフシャコの存在もお忘れなく。
そして、通常の体色は薄く黄色がかった体に、黒っぽい横しま模様があります。いわゆる、虎柄です。トラフシャコの名前の由来にもなっています。
トラフシャコの特殊な目の構造

シャコは、動物界で最も複雑で高機能な視覚を持っています。
人間の色の識別能力は3色で、赤・青・緑の光を感知しています。一方、シャコは12色もの識別能力があると言われています。
人間には見えない紫外線や赤外線、偏光まで見えており、奥行きなどの立体視もできるようです。
さらには、複眼という機能も持ち合わせており、複数の目が集まることによって、両目合わせて360度見える視野を持つハイテクな目をしているのです。
私が出会った真っ白なトラフシャコ
前述のとおり、通常トラフシャコは虎柄です。しかし、私が西表島で出会ったのは、真っ白なトラフシャコでした。
なぜ私が出会ったトラフシャコは真っ白だったのでしょうか。

考えられる可能性としては、生息地が真っ白な砂地のため、体色を明るくしてカモフラージュ効果を高めているということ。もしくは、黒い模様のもととなるメラニン色素が欠乏しているアルビノ個体であることが考えられます。
また、真っ白な砂地で天気も良かったため、より白く見えたようにも思えます。真っ白なトラフシャコは、より幻想的でとても美しかったです。
石垣&西表エリアに行った際は、ぜひトラフシャコを探してみてください。
(サカナトライター:shell)