アニメや漫画、SF作品などに登場することが多い「空飛ぶクジラ」。みなさんもなにかの作品で、クジラが空を飛んでいる姿を目にしたことはありませんか。
筆者は実際に、いくつかのアニメ作品でクジラが空を飛んでいる姿を見たことがあります。
では、どうしてほかの生き物ではなく、クジラが空を飛ぶのでしょうか。
空飛ぶクジラは多くのアニメ・SF作品に登場
空飛ぶクジラは、ファンタジー作品やSF作品によく登場します。
例えば、筆者が観た作品で特に印象に残っているのは、漫画『ふらいんぐうぃっち』(石塚千尋・作 、講談社)に登場する空飛ぶクジラ。主人公たちの背後から、突如現れるシーンは圧巻です。

また、『時をかける少女』(2006、角川ヘラルド映画)や『サマーウォーズ』(2009、マッドハウス)で知られる細田守監督の作品にはクジラがよく登場することが知られています。『サマーウォーズ』には、電子空間を飛ぶように漂う、2匹の大きなクジラが描かれていました。
妖怪ウォッチの劇場作品『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』(ウシロシンジ、横井健司 2016、映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト2016)ではタイトルにも含まれており、作中では主人公のすむ町の上空に巨大クジラが登場します。
海外のSF小説にも登場
作品によっては、宇宙空間を漂うクジラも登場します。
海外の作品であれば、SF小説の『ジョナサンと宇宙クジラ』(ロバート・F・ヤング・著、伊藤 典夫・訳2006、ハヤカワ文庫SF)が有名でしょうか。
筆者が知らないだけで、ほかにもたくさんあるはずです。このように、いろいろな作品でクジラは空を飛んでいます。
クジラに似ている? 最近めっきり見かけなくなった空の乗り物
空想の世界でクジラはいつから空を飛ぶようになったのでしょうか。
はっきりとはわかりませんが、クジラが空を飛んでいるというイメージを最初に人々に植え付けたのは、飛行船ではないかと筆者は考えています。
どことなく、クジラと飛行船って似ていると思いませんか。

ともに真ん中から両端に向かって細くなる紡錘形のボディをもち、飛行船が空に浮かぶ姿はクジラが海をゆったりと泳いでいる姿を連想させます。
また、飛行船の先頭から船尾にかけて張られている骨格とヒゲクジラ類にみられる畝(うね)も似ていると感じるポイントのひとつです。
20世紀当時、飛行船を見てクジラを連想した人が、少なからずいたのではないのでしょうか。そしてそこからイメージが膨らんでいき、空飛ぶクジラが生まれたのではないかと筆者は考えます。
これからも空飛ぶクジラに注目していきたい
空想の世界ではよく空を飛んでいるクジラ。もしかしたら現実世界でも見られるかもしれません。
というもの、フランスの「FLYING WHALES(フライング・ホエールズ)」という企業が数年後の実用化に向けて大型貨物飛行船の開発に取り組んでいるとのこと。
フライング・ホエールズというそのまますぎる企業名からも分かる通り、国内外問わず多くの人がクジラと飛行船の類似性を認識しているのではないでしょうか。
現在、飛行船を見かけることはほとんどありませんが、もしかしたら数年後には世界中の空を飛び交っているかもしれません。そしてまた多くの人たちが空を見上げて、空飛ぶクジラに思いを馳せることでしょう。
(サカナトライター:こひ)