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海草化石2新種を発見

今回の研究で山田敏弘教授は図録に掲載された標本のうち、2点を譲り受け観察。東海化石研究会の協力の下、師崎層群の再調査を実施し、海草化石の追加標本1点を得ています。

観察の結果、師崎層群から得られた標本のうちの1つはトチカガミ科クロモ亜科の特徴を示しており、短枝基部に繊維質の葉鞘を持つことことなどから化石属のムカシザングサ属に分類されることが明らかになりました。

しかし、この標本はこれまでに知られている種とは葉脈の密度がことなることからモロザキムカシザングサ Thalassites morozakienshis として新種記載。残りの2点は形態が現生するThalassodendron属の植物とよく似るものの、葉の縁に鋸歯を持たないことから、新属・新種のアイチイソハグキ Maresurculus aichiensis として報告されました。

現生のブルーカーボン生態系の原型

今回、新種記載されたモロザキムカシザングサとアイチイソハグキはそれぞれ、現在の熱帯~亜熱帯における海草植物相の中心であるリュウキュウスガモタラッソデンドロンにごく近い祖先と考えられています。

また、アイチイソハグキの葉にコケムシやカキの化石が付着しており、現在のブルーカーボン生態系の原型が1800万年前にできていたことを初めて示しました。

「師崎層群」は化石の宝箱

今回の研究により世界でも珍しい新種の海草化石が発見され、それぞれモロザキムカシザングサ、アイチイソハグキと命名されました。また、これらは現在のブルーカーボン生態系の成立史を解き明かす重要なヒントでもあります。

また、こられの発見は師崎層群が化石の宝箱であることを再確認するものです。

師崎層群は化石として残りにくい生物の化石が多数発見されていることから、今後の研究で浅海における生態系の歴史や化石相の解明が期待されています。

(サカナト編集部)

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