透明度の高い沖縄の海はダイビングやシュノーケリングで人気ですが、色とりどりの魚たちに癒やされる一方で、危険な生物も潜んでいます。
沖縄県では1998年から2024年にかけて、6000件以上の海洋生物による被害が報告されており、中には命に関わるケースもあります。
今回は、ダイビング中に“やや深い場所”で遭遇しやすい5種の危険生物をご紹介します。
サンゴ礁の隙間に潜む<オニヒトデ>
オニヒトデは30~40センチほどの大型のヒトデで、トゲのある腕に毒があります。
体色は灰色、オレンジ色、紫がかった青色と様々で、一見すると綺麗で少し変わったヒトデのようですが、よく見ると2~4センチほどの細かいトゲが体表を覆っており、すぐに分かります。
サンゴ礁のスキマに入れるほど柔軟な体で、テーブルサンゴの下に隠れていることもあるため、うっかり踏んでしまう事故が報告されています。
オニヒトデ(提供:PhotoAC)刺されると激痛や腫れ、化膿を起こします。アナフィラキシーの恐れもあるため注意が必要です。また、痛みだけでなく、トゲは非常に鋭く脆いため、刺さると体内で折れてしまうこともあります。
たいていの場合は刺されて数時間ほどで痛みは収まりますが、ひどい場合は数日間に渡って2~3時間おきに痛むこともあるため、必ず病院を受診してください。
さらに、繰り返し刺されるほど症状が重くなる場合もあるため、まずは刺されないこと、サンゴ礁に安易に近づかないことに注意してください。
万が一刺された場合の応急処置ですが、取れそうな範囲で棘を取り除いたあと、体内に残っているものはそのまま病院に行くまで放置します。
その後、患部を40度~45度の温水にひたしてください。ビニール袋に温水を入れて患部にあてるだけでもOKです。
その後も体内に棘が残っているケースを考慮し、必ず医療機関を受診してください。
<ガンガゼ>は針が刺さりやすい!
長いトゲを持つウニの仲間・ガンガゼは、非常に鋭いトゲを持っています。
ガンガゼは石に付着した藻などを食べるため、主に岩場やサンゴ礁の間に生息しています。触ってケガをするよりも、ダイビングやシュノーケリング中に誤って足で踏んでしまう事故が多いです。
ガンガゼ(提供:PhotoAC)普通のウニではよほど強く触ったり踏んだりしないとトゲが刺さることはありませんが、ガンガゼは軽く踏んだり触っただけでも容易に刺さります。
トゲは折れやすく、刺さるだけで患部に強い痛みが続きます。ひどい場合は手足の麻痺や呼吸困難を起こすこともあるのでご注意ください。
びっしり生えた細いトゲ自体が30センチを超えることもあり、ウエットスーツだけでなくビーチサンダルも容易に貫通するため、履き物をしていても注意が必要です。
そのため、トゲが折れて体内に残るケースも報告されており、体内に残ると痛みが長引くだけでなく、患部が化膿することもあるため、必ず病院を受診してください。
最悪の場合は、トゲが刺さった患部を切開して体内のトゲを取り出す手術が行われます。
応急処置としては、なるべくで良いので目に見える範囲で刺さったトゲを取り除き、40度~50度程の温水に痛みが和らぐまでつけてください。
ビニール袋などに温水を入れて患部にあてるのも効果があります。
トゲが浅い場合は自然に抜けることもありますが、後から傷口が化膿する可能性もあるため、必ず医療機関を受診してください。
<ウミヘビ>はハブの数十倍の毒を持つ!?
ウミヘビの仲間はほとんどが毒を持ち、珊瑚礁や岩場に隠れています。
毒の強さは種類にもよりますが、どの種もとても強い神経毒をもっており、噛まれると麻痺や呼吸困難を起こすことがあります。噛まれた場合は、すぐに陸に上がり、救急車を呼んでください。
多くのウミヘビは臆病で、人間から安易に近づかなければ攻撃してくることはほとんどありません。さらに牙は短いため、厚手のウエットスーツであれば貫通する可能性は低いです。
エラブウミヘビ(提供:PhotoAC)万が一噛まれてしまった場合は、心臓に近い部分を紐などでしっかり縛り、毒の回りを抑えます。ウミヘビの種類によって症状は異なるため、必ずすぐに医療機関を受診してください。
噛まれた傷口は小さく、出血も少ないため初見では気づかない場合があります。海中で違和感を感じた時点で、すぐに陸に上がるようにしましょう。時間が経つと痛みや腫れ、吐き気や嘔吐などの症状が悪化することがあるため、「噛まれても痛くないから大丈夫」と自己判断をするのは危険です。
また、病院ではウミヘビ抗血清が必要となるため、必ず「ウミヘビに噛まれた」と報告し、その病院に血清があるのかを確認してください。
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