岩に擬態する<オニダルマオコゼ>
オニダルマオコゼは、普段は珊瑚礁や岩礁の泥砂の中に潜んでいることが多く、ややグロテスクな見た目とは裏腹に非常に見つけにくい擬態能力に長けた毒魚です。
大人なら足がつく程度の、かなり浅い海域でも目撃されています。
オニダルマオコゼ(提供:PhotoAC)最大40センチまで成長し、背びれや腹びれ、骨びれに毒のあるトゲを持っています。
非常に擬態能力が高いため、被害の多くが誤って踏んでしまうことにより発生します。こちらもガンガゼ同様、ビーチサンダルは容易に貫通するためご注意ください。
ハブ毒の約30倍から80倍の毒を持ち、刺されると激痛やしびれを伴うだけでなく、最悪の場合はアナフィラキシーショックを起こし、失神や血圧低下、心臓機能不全を起こして命を落とすことがあります。
実際に2010年頃には沖縄県名護市の海岸で、ダイビングのインストラクターの方が左足の裏を刺され、搬送先の病院で死亡するという痛ましい事故も起きました。この方も短時間で心肺停止したことから、アナフィラキシーショックの可能性が疑われています。
刺された場合の応急処置ですが、まずすぐに陸にあがり、可能な範囲で傷口を真水で洗い、毒を絞り出してください。刺された部分を心臓より低くして、傷よりも心臓に近い部分をきつく縛りましょう。必ず救急車を呼ぶか、病院を受診してください。
痛みが酷い場合は、40度から50度の温水に60分から90分間つけると毒が不活性化し、痛みが和らぎます。
血が出ている場合は、温水を入れたビニール袋などを患部に当てるのも効果的です。
綺麗だけど毒をもつ<ミノカサゴ>
日中はサンゴ礁や岩場の影に潜んでいることが多いミノカサゴは、夜行性で夜に活発に動き出します。単体で行動することが多いのも特徴です。
優雅な見た目に反して、意外と気性の荒い個体も多く、人間にも臆することなく向かってくることがあります。
さらに人が近づいても逃げずにゆっくり海底を漂っていることもあるため、ミノカサゴを見つけた段階で、人間の方から刺激せずゆっくりと離れることが賢明です。
ミノカサゴ(提供:PhotoAC)背びれ、腹びれ、尻びれのトゲに毒腺を持っており、驚いたり興奮すると尾びれを立てます。
刺されると患部が大きく腫れるだけでなく、非常に強烈な痛みを伴います。
死亡例は少ないですが、アナフィラキシーショックを起こし、めまいや呼吸困難、意識障害を引き起こすこともあるため、刺された場合はすぐに陸に上がり、病院を受診してください。
毒自体はタンパク毒なので、オニダルマオコゼと同じように40度~50度程度の温水につけると毒が不活性化し、痛みが和らぎます。
実は釣りの際にも誤って釣れてしまうことがあり、筆者も幼い頃、さほど深くない海域での船釣り体験で釣れたことがあります。
その際は漁師の方がすぐ気づいてフィッシュグリップで掴み、海にリリースしていました。
調べてみるとミノカサゴ自体は非常に美味しいらしいのですが、死んでも毒が残るため、毒の処理が難しい方は安易につり上げず、食べないことをおすすめします。
危険はすぐそこにあるという意識が大事 自己判断は危険
どの生物も「うっかり近づいて刺された」ケースが多く報告されています。沖縄の海の美しさを楽しむ一方で、危険をしっかり理解し、安全なダイビングを心がけましょう。
また、もし刺されてしまった場合は、応急措置のみで済まさずに、必ず病院を受診しましょう。
(サカナトライター:美琉)
参考文献
沖縄観光情報WEBサイト おきなわ物語-触っちゃダメ!沖縄の海のキケンな生物
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